全商検定全9種目で1級取得 和商の2人

公益財団法人「全国商業高校協会」(全商)が主催する検定で、和歌山県立和歌山商業高校(和歌山市砂山南、中村憲司校長)をこの春卒業した、大谷拓巳さん(18)と中本紗耶さん(18)の2人が、全種目1級取得の快挙を成し遂げた。

合格した検定は、簿記実務▽情報処理・ビジネス情報▽同・プログラミング▽商業経済▽ビジネス文書実務▽珠算・電卓実務(計算用具そろばん)▽同・同(計算用具電卓)▽英語▽会計実務(財務会計・財務諸表分析・管理会計)――の全7検定9種目。

県商業教育研究会の事務局長を務める同校の石田秀行教諭によると、9種目の中でも英語は合格率が10%を切るほどの難関。本年度の県内の全種目1級取得者は大谷さんと中本さん2人のみ。昨年度は全国で64人、県内にはいなかった。

特に本年度の3年生はコロナ禍で入学し、オンライン授業も多かったことから、石田教諭は「モチベーションの維持を含め、人一倍努力していないと成し遂げられなかった功績」とたたえる。

また、同校情報コース生の全冠制覇は中本さんが初めて。同コースには簿記の授業はなく、問題集を使って独学で臨んだ他、英語検定前の半年間は毎日3時間猛勉強し、1級合格をつかみ取った。

4月から大阪調理製菓専門学校に進学する中本さんの夢は、「自分のカフェを持つこと」。「カフェを経営できるようになったら簿記も生かしたい」とほほ笑む。

会計コースの大谷さんが全冠制覇を目指したのは2年生の途中。授業にはないプログラミングを独学で合格できたことが自信につながった。

検定日から逆算して計画を立て、忍耐力で勉学に励んだ結果、昨年12月には最後の検定に合格し、全冠制覇を達成した。

「補習をしてくれた先生や、一緒に頑張った同志のおかげ」と感謝。進学先の同志社大学商学部では「公認会計士や税理士といった難関資格に挑戦していきたい」と意気込み、さらなる高みを目指していく。

 

合格証書を手に笑顔の大谷さん㊧と中本さん