日常使いの根来塗 松江那津子さん作品展
根来寺根来塗の室町時代の技法を復興した和歌山県岩出市の池ノ上辰山(しんざん)さんの直弟子、松江那津子さん(42)の展覧会が、18日まで和歌山市友田町の近鉄百貨店和歌山店5階画廊で開かれている。
根来寺根来塗は、1585年に豊臣秀吉の紀州根来攻めによって途絶えてしまい、失われた室町時代の技法を、辰山さんと根来塗の権威である河田貞氏が共に探求し、415年の時を経て復興させた。
辰山さんには15人の直弟子がおり、松江さんは一番弟子。海南市出身で約10年前に辰山さんの作品に魅了され、根来塗の世界へ。「躍動感のある刷毛跡ができるような作品づくりを目指している」といい、現在は岩出市根来にある市民俗資料館内の根来塗工房で創作に励んでいる。
松江さんの作品は、国産の漆を100%使用。そのうち30%は、自ら植樹し育てた漆の木から樹液を採取したもの。辰山さんによると、松江さんの作品は、難しいとされる下地の層が強いため、熱に強く剥離(はくり)がほとんどないのが特長だという。
展覧会では、「根来塗りといえば瓶子(へいし)」といわれる、伝統的な木のとっくりの他、室町時代の技法で作られた箸、椿皿、豆子(ずつ)、角切折敷など約500点を紹介している。
また、使い込むことで、黒い色の層が刷毛目のように表面に出る「なれ」が味わい深く、普段使いができる一生ものだという。松江さんは「根来塗は熱湯も大丈夫なので日常使いができる。来ていただき、手に取っていただけたら」と話している。
午前10時から午後6時半(最終日は3時)まで。期間中、松江さんが在廊する。問い合わせは同店(℡073・433・1122)。