厳戒態勢下、各地で遊説 爆発事件受け
衆院和歌山1区補選(23日投開票)は告示から最初の週末を迎えた15、16日、各党幹部が続々と和歌山市入りし、自党の候補への支援を訴えた。15日には岸田文雄首相に対し、遊説先の雑賀崎漁港で爆発物が投げ込まれる事件があったが、各党とも、民主主義の根幹である選挙を暴力で妨害する行為を非難し、事件後も予定通り遊説を実施。警備のため有権者との距離を取る会場もある中、各候補は訴えに力を込めた。
候補者は届け出順に、自民元職の門博文候補(57)、維新新人で元和歌山市議の林佑美候補(41)、共産新人で党県常任委員の国重秀明候補(62)、政治家女子新人で党職員の山本貴平候補(48)。
門候補は15日、爆発事件の約1時間後に岸田首相と共にJR和歌山駅の街頭に立ち、その後も街宣やミニ集会、立礼などを続けた。16日には菅義偉前首相が応援に訪れ、演説会場では、バーで区切られた聴衆のエリアの前に警察官が並び、手荷物検査なども行う態勢がとられた。菅氏は「大接戦だ。なんとしても実績のある、ふるさとを愛してやまない候補に大きな力添えを」と支持を訴えた。
林候補の応援には15日、吉村洋文共同代表、9日に当選した山下真新奈良県知事が入り、駅前などで街頭演説。吉村氏は、暴力ではなく政策で自民と対決する姿勢を強調し、「自民の政治は自分に近い周囲の利益を考えている。維新は将来の世代の利益を考える政治だ」と改革を呼びかけた。16日には藤田文武幹事長、横山英幸新大阪市長を投入。党幹部の連日の応援で議席奪取に執念を見せる。
国重候補は15、16日とも、住宅街や団地の中などを細やかに街宣し、支持拡大に走った。16日は市田忠義党副委員長と共にJR和歌山駅前で演説し、「自民、維新は軍拡をあおっている。負けるわけにはいかない」と両党を批判。市田氏は、防衛費の拡大ではなく、子どもの医療費や給食費の無償化などに予算を充てるべきとし、「平和と暮らしを守る旗を掲げる唯一の候補を押し上げて」と述べた。
山本候補は告示日の街宣以降、選挙区入りはしておらず、インターネットなどで独自の戦いを展開している。