バランスの良い食味「古都華」
前号では、山梨県で生まれた新品種「星の煌めき」を取り上げた。県内で栽培され筆者が購入した9種類のいちごに加え、近隣の他県で栽培され、県内で見かける品種がある。今週は奈良県で栽培されている「古都華(ことか)」を紹介したい。
古都華は2011年に品種登録されたいちご。奈良県農業総合センターが「紅ほっぺ」と「7―1―3」という品種を掛け合わせて育成したもの。奈良県には「あすかルビー」というオリジナル品種があるが、ブランド力の強化を目的に開発したという。
果皮はつやのある赤色で香りが強い。糖度は12~13度と高めで、酸度も高いため、濃厚な味わいが特徴。果肉は中央にかけて白くなり、やや空洞が見られる。果実自体は硬く歯応えがあり、日持ちが良い。いちごは収穫時期によって酸度のばらつきが見られることがあるが、古都華はばらつきが少ない。
名前の由来は、古都華が発表された翌年が「平城遷都1300年」で、古都・奈良を飾る新たな華になってほしいという思いが込められているという。
栽培は奈良県内に限られるが、和歌山県内でも流通。価格は一般的ないちごと同程度からやや高め。大粒の実と美しいつやから、思わず手にしたくなる美しいいちごである。収穫は12月から始まり、翌年4月頃まで。
甘味と酸味のバランスに優れ、見栄えも良いことから、ケーキやパフェに使用されることが多い。奈良県内の道の駅では古都華をふんだんに使用したパフェが人気。これを目当てに遠方から訪れる人がいるほどで、地域活性の起爆剤となっている。
お隣の奈良県で栽培される人気品種。和歌山県内で見かけることがあれば、ぜひその味にふれてみてほしい。(次田尚弘/和歌山市)