それぞれの日常 松原・井上さん2人展

「日常」をテーマにした写真の2人展「everyday life」が18日まで、和歌山市元博労町の「かまどの下の灰までgallery」で開かれている。

撮影したのは同市の写真家・松原時夫さん(83)と理容師の井上智象(ともかた)さん(51)。カラー、モノクロ計50点が並ぶ。

1940年生まれの松原さんは、地元の和歌浦や片男波、雑賀崎などで、51年から59年にかけての「子どもがたくさんいて元気だった頃」にフィルムで写した子どもたちの写真を展示。

天神祭や漁港のにぎわい、妹背山前での集合写真、相撲や魚釣りを楽しむ姿、着物姿で正月を祝う様子など。今は少し変わってしまったまちの風景とともに、子どもたちの生き生きとした表情や、生活の息遣いを記録している。

一方の井上さんは、趣味で15年ほど前から写真を楽しみ、個展やグループ展で発表。同ギャラリーの代表でもあり、松原さんに個展の開催を依頼したところ「それでは面白くないので、2人展に」と提案された。

覚悟の思いも込め「人に見られたくない写真」を並べたという。身の回りの事象やプライベートな出来事を題材にし、松原さんは「井上君の生活がうそ偽りなく表されている」と話す。

写真は、片男波に寄せる波、幼い頃のわが子の表情を写したもの、残された置き手紙など、何気ない日常。これまで誰にも見せたことがなかったという写真の中には、今も撮ってしまったことへの後悔を抱える一枚もあるといい、心の内側をさらけ出すように、尊い日々を赤裸々に写している。

井上さんは「皆さんに見ていただけるだけでうれしい」と話す。全く作風の違う写真が隣り合い、松原さんは「意外な組み合わせで面白い展示になった。他にはない『井上ワールド』、そして、分かる人が見れば懐かしい記録、それぞれの日常を楽しんでもらえれば」と笑顔で話している。

午後1時から8時(最終日は6時)まで。問い合わせは同所(℡070・8563・3182)。

 

写真を紹介する松原さん㊨