メロン変種に分類「マクワウリ」
前号では、滑らかな食感と濃厚な甘みが特長で、紀中で栽培されている「マスクメロン」を取り上げた。紀元前2000年ごろから存在するメロン。原産地から西方に伝わったものがメロンである一方、東方に伝わったものがウリである。今週は日本の伝統野菜の一つ「マクワウリ」を紹介したい。
マクワウリはウリ科キュウリ属のツル性植物の果実で、メロン変種に分類される。岐阜県南部の美濃地方にある「真桑村(現在の本巣市)」で盛んに栽培されたため、その地名からマクワウリ(真桑瓜)の名が付いたとされる。
さまざまな品種が各地に存在するが、皮が黄色い「黄金まくわうり」はお盆のお供えなどにも使われる一般的なもの。主な産地は、岐阜県、愛知県、滋賀県。いずれも地域の伝統野菜として扱われ、旬は7月から8月。
お隣の奈良県では平安時代から栽培されており、統的な「大和野菜」として認定されている。県内でもこの品種が一般的となっており、筆者は紀の川市で栽培されたものを購入した。
大きさは300㌘から大きいもので700㌘程。形は縦長で果皮は濃い黄色。中の果肉は白い。メロンと比べ果肉の厚みが薄く、果芯部は空洞で小さな種がある。
未熟なものは果肉が硬く甘味も少ないため、浅漬けにされることが多い。熟すると果肉が柔らかくなり、食感はマスクメロンと同様になる。
食してみると酸味は無く、さっぱりとした甘さがある。マスクメロンのような強い香りや果汁は無いものの、甘さを楽しむことができる。糖度は14度程あるという。
メロンが一般的ではない頃から日本の食卓で親しまれてきたマクワウリ。地域性のある伝統野菜として、今後も受け継がれることを期待したい。
(次田尚弘/和歌山市)