加太などでロケ 「ふまじめ通信」公開迫る
和歌山市加太をメインのロケ地とした映画「ふまじめ通信」の全国公開を前に、監督のまつむらしんごさん(42)が6日、市役所の尾花正啓市長を訪問し、撮影への協力に感謝を伝えた。疲れた現代の人たちに贈る心が少し軽くなる〝ふまじめ〟な物語。ご当地・和歌山では27日から、ジストシネマ和歌山で公開される。
まつむら監督は、若年性乳がんをテーマとし、話題となった前作「あつい胸さわぎ」では雑賀崎をロケ地とし、2作続けて市内の漁師町での撮影となった。
「ふまじめ通信」の主人公は、クニちゃんこと小山田久仁子。都会で教師をしていたクニちゃんは、真面目に考え過ぎてしまう性格からストレスで心身を病み、辞職。Iターンした加太で、医者から言われた「もっと、うまく、ふまじめに生きなさい」との言葉を思い出し、自身の性格とは逆の「ふまじめ通信」という音声番組を何となく始めてみる。風情ある港町を舞台に、気の置けない友達や町で出会うちょっと訳ありな人たちの〝ふまじめ〟なエピソードが織りなす、オムニバスストーリーとなっている。
主演は宇乃うめのさん。植田紗々さん、7Aさんら個性的な俳優陣に加え、和歌山市のモデル・本谷紗己さん、市出身のユーチューバー・そわんわんさんも出演している。
まつむら監督は、市出身で制作プロデューサーの前田和紀さん(58)と共に市役所を訪れ、尾花市長の歓迎を受けた。
まつむら監督は物語の舞台とした加太について、前作でもロケ地の候補となったことを紹介し、「時間が止まったような、タイムスリップしたような感覚が忘れられなかった。のんびりした雰囲気で、流れている空気まで映像に映っているように感じる場所」と魅力を強調。地元・和歌山の人々には「自分が住んでいる所がこんなにきれいなんだと再発見してもらえたら」との期待を語った。
今作には、和歌山の人々や撮影スタッフらさまざまな人から聞いた、人にわざわざ語るほどではないけれど、人生の中で捨てることができないささいなエピソードの数々が描かれており、「自分なりのふまじめさを獲得していく物語」になっていると解説。「あくせくと忙しく、身を削っているような人に見てもらいたい」と話した。
尾花市長は「私も疲れているので、ぜひ見ないと」と述べ、2作続けて市内をロケ地に選んだまつむら監督に感謝。次回作のロケ地には和歌山城を薦めた。
「ふまじめ通信」は20日から全国で順次公開となる。ジストシネマ和歌山では、まつむら監督の舞台あいさつも予定されている。