クラウド活用で成果 小森組がコンテスト出場

クラウドサービスの活用により生産性向上や経営の効率化を進める地域企業などの実践事例を発掘するコンテスト「全国クラウド実践大賞2023」に、和歌山県内から小森組(串本町)の小森脩平専務取締役(34)がエントリーしている。17日に大阪市内で開かれる近畿大会を控え、プレゼンテーションに磨きをかけており、全国大会への進出が期待されている。

同コンテストは、クラウドを活用した実践事例を発信するプロジェクトとして2019年に始まり、一般社団法人日本デジタルトランスフォーメーション推進協会(JDX)を事務局とする実行委員会が開催している。

小森組は創業65年、紀南地方を中心に事業を展開してきた総合建設業。小森専務は他業種の大手企業で勤務し、創業者である祖父の死去を機に9年前に帰郷した。専務就任後、建設現場にICT(情報通信技術)を活用し、生産性向上などを目指す「i-construciton(アイ・コンストラクション)」の取り組みを約2年半にわたり進めてきた。

今回の発表テーマは「i-construcitonを用いた生産性向上・人材育成」。

建設現場でのICT活用には、レーザーを用いた3次元測量、設計データの3D化、3D設計データをモニターに反映しながら施工できるICT建機の導入などがあり、作業の省力化、安全性の向上などさまざまなメリットがある。

中小の建設業者の多くがこれらを外注する中、小森組は専用ソフトやICT建機を自社で保有し、社内で完結できる「内製化」を目指してきた。内製化により、取り組みのノウハウ、測量や設計のデータなどは社内に蓄積され、クラウドを活用することで社員が情報を共有し、アクセスできるようになり、生産性の向上にとどまらず、人材育成のスピードアップなどにもつながっているという。

これらの取り組みの成果を広く全国に発信するため、小森専務はプレゼンテーションの発表資料や原稿などの最終調整に余念がない。

他社があまり取り組んでいない内容だけに、「自分たちがどこに進んでいるのか分からないこともあった」が、「役に立つ、良いことをやってきたと感じている。第三者に評価してもらうことで確認できれば、自信にもつながる。全国の舞台に進んでアピールしたい」と意気込む。

JDX県支部長で同コンテストの実行委員を務める和田正典さんは「日本全体のDXの底上げを目指している。和歌山から全国に向かって挑戦する企業が出てくることはうれしく、期待している」と話している。

近畿大会は17日午後1時半~5時、大阪市都島区のQUINTBRIDGEで開かれ、オンライン配信もある。詳細、申し込みはウェブ

 

近畿大会に出場する小森専務