外国籍教員を「教諭」に 和教組が署名活動

小中高校・特別支援学校で外国籍の教員が教諭に任用されず、職務経験を有しているにもかかわらず主任になれないのは不当だとして、和歌山県教職員組合が、県教育委員会に教諭任用を求める署名活動を行っている。年内に1万筆を集め、提出することを目指している。

同組合によると、外国籍の人が日本の公立学校の教員採用試験に合格した場合、和歌山を含む多くの都道府県は、「教諭」ではなく「任用期限を付さない常勤講師」として採用しているが、これは1991年の文部省通知に基づく対応で、法的根拠はない。

また、学校教育法により、講師は学年主任や教務主任などの「主任」にはなれず、外国籍の教員は校長、教頭などの管理職になれないとされている。

今回の運動のきっかけとなったのは、県内の小学校に勤務するオーストラリア国籍のルーク・ザレブスキーさん(44)の体験。ザレブスキーさんは県での教員生活20年目のキャリアを持ち、前任の中学校で校長が学年主任に登用しようとしたが、国籍を理由に実現しなかった。

ザレブスキーさんは、それまでの教職経験を否定されたようなつらさを感じたといい、「国籍ではなく、人を見て、能力で判断してほしい」と話す。「主任がしたいということではなく、校長が最適と判断した人事が校内でできないのはおかしいということ。教師団への貢献ができるようにしてほしいと思う」と訴える。

ザレブスキーさんの相談を受け、同組合は夏ごろから署名活動を開始。20日には県庁でザレブスキーさんと同組合の川口貴生書記長が記者会見を開き、活動の趣旨を説明した。

同組合は、同じ教員採用試験に合格していながら、外国籍の人は職名が異なり、主任や管理職になれないのは、労働基準法が禁じる「差別的取扱」が行われていると指摘。また、国公立大学の教員は国籍に関係なく教授などになることができるのに、小中高校では認められないのは整合性が取れないとしている。

県の現在の対応は多くの都道府県に共通する一方、東京都やさいたま市など、外国籍の教員を教諭として採用する自治体はある。同組合は県教委に対し、独自判断で教諭への任用を認めるべきと訴えている。

署名の要望項目は、①学国籍の教員の職を「教諭」とするなど、国籍による差別をなくすよう国に対して意見をあげること②せめて県内では、職を「教諭」とするなど、国籍による差別をなくすよう制度を整備すること――の2点。現在、約2000筆が集まっている。

署名についての問い合わせは同組合(℡073・423・2261)。

記者会見で訴えるザレブスキーさん㊧、川口書記長

記者会見で訴えるザレブスキーさん㊧、川口書記長