介助犬に理解深めて 高松小学校で体験授業

交通事故被害者や障害者の手足となって生活を助ける介助犬についての理解を深めてもらおうと2日、和歌山市東高松の高松小学校(藤原ゆうこ校長)で介助犬による出前授業が行われた。

JAとJA共済連が主催。444人の全校児童が低学年と高学年に分かれ、社会福祉法人日本介助犬協会(本部=神奈川県横浜市)のスタッフと介助犬のピト(4歳、雄、ラブラドルレトリバー)による、車椅子生活を想定した介助の実演を見学した。

「テイク(取って)」、「ギブ(ください)」といったシンプルな一言で、ピトはひもの付いた冷蔵庫の扉を開けてペットボトルをくわえて渡したり、靴を脱がせたりする補助、携帯電話を探して持って来るなどの介助を実演。児童らも車椅子に乗ってピトに指示を出す体験をした。

同協会によると、全国で57頭の介助犬が活動する中、県内ではいまだ不在。原因として情報や認識不足があり、「訓練や仕事を強制されたかわいそうな犬」という負のイメージも普及を妨げる一因という。スタッフで同協会広報チームの石田夢果さんは児童たちに、介助犬も人と同じく得意不得意があると説明した上で「介助犬がお仕事中は触ったり声掛けせずに見守ってください。でも困っているところを見かけたら、何かお手伝いしましょうかと尋ねてみてください」とアドバイスした。

児童たちからは「かわいい」「一言の指示で分かるところがすごい」などの声が上がっていた。車椅子からピトに指示を出す体験をした3年2組の井谷慧大さんは「鍵を落として拾ってきたところが賢いと思った」と話した。

同校の藤原校長は「落ち込んだり不安だったりしたとき、動物のぬくもりに触れると児童に変化があることを実感しています。このような機会を通して、優しい気持ちや前向きな思考で、学校生活をもっと楽しんでもらえれば」と話した。

鍵を拾ってもらう体験をした児童ら

鍵を拾ってもらう体験をした児童ら