深い絆を未来へつなごう 広瀬小150周年式典

創立150周年を迎えた和歌山市広瀬中ノ丁の広瀬小学校で11日、記念式典が行われ、児童と保護者、歴代PTA会長、地域住民ら約200人が出席。卒業生の岸本周平知事による記念講演、兄弟お笑いコンビ「すみたに」による漫才などが披露され、節目を盛大に祝った。

同校は現在、全学年が各1学級で全校児童数は163人。昔も今も地域と学校が密接な関係を築き、さまざまな行事で交流を深めている。

150周年を地域全体で祝おうと、同窓会、PTA、地域の各種団体、学校が一体となり、記念事業実行委員会を結成。昨年9月から準備を進めてきた。

会場となった体育館には児童全員で作った150周年を祝う文字や絵が飾られ、出席者を迎えた。

式典では、実行委員長でPTA会長の上野山友紀さんが「150周年は歴代校長をはじめ諸先生方、PTA、地域の皆さまが子どもたちのために、愛情を持って学校の発展に貢献してくださったおかげです」と感謝の言葉を述べ、永原三士校長が「たくさんの卒業生が長年つないできた歴史と伝統を200年、250年を迎えられるよう、つないでいってほしい」とあいさつした。

続く、「失敗してもええんやで」と題した記念講演では、岸本知事が壇上から降り、児童たちの近くで顔を見ながら講演。「好きなものは何?」と問いかけると、児童らは「サッカー」「野球」などと元気に答え、岸本知事は「好きなことを見つけてほしい。失敗したからといって、めげる必要はないし、失敗するのが嫌で挑戦しないようなことになると面白くない。とにかく挑戦して、失敗をたくさんした人ほど力がつきます。大きい成功をしたい人は大きい失敗をしてください」と語りかけた。

広瀬小で学んだのは勇気を持つこと、正直に、親切にするということで、それをみんなにも守ってほしいと伝え、「卒業して60年たった今もその頃の同級生が一番の友達。それが広瀬のいいところだと思います」と話し、会場は大きな拍手に包まれた。

また、ともに同校卒業生の「すみたに」が登場。兄のまさとしさん(47)、弟のよしひろさん(44)が小学校時代の思い出や漫才を披露し、会場を盛り上げた。

2012年に当時の児童らが作詞したオリジナルソング「広瀬の絆」を全員で合唱。「ぼくたちの学校は小さいけれど 一人ひとりが思いやり とても仲がいい 深い広瀬の絆 僕たちで未来へ引き継ごう」と歌い、新たな歴史に向け、気持ちを一つにした。

式典後、全員が校庭に出て児童が将来の夢を書いた風船にカスミソウの種を付け、空に飛ばした。

式典で司会を務めた2003年の卒業生でNHK和歌山放送局の小谷麻菜美さん(32)は、久しぶりに母校を訪れたことを喜び、「七夕まつりではカラオケ大会があり、ステージで歌うのが好きだった」と振り返った。

50年前に100周年の実行委員長を務め、PTA会長もしていた岩橋延直さん(90)は「2度も盛大な式典に参加できたことをうれしく思う」と笑顔だった。

児童が夢を書いた風船を空に飛ばした

児童が夢を書いた風船を空に飛ばした