映画「MAD CATS」 和歌浦出身の津野監督
和歌山市和歌浦出身の津野励木(れいき)監督(40)が制作した映画「MAD CATS」が17日~22日、和歌山市松江のジストシネマ和歌山で公開される。映画は行方不明の兄救出の旅へ出るダメ男のタカとその仲間たちが化け猫に襲われるアクション・コメディ。同市に住んでいた頃はジストシネマに週に1、2回通って映画を見ていたという津野監督は「和歌山の映画好きな少年が長い年月をかけて、故郷で自分の映画が上映されるという夢をかなえた。たくさんの地元の人に見てもらいたい」と話している。
津野監督は映画好きな両親の影響で幼い頃からたくさんの映画を見てきた。5歳の時、父と見た映画「死霊のはらわた2」でホラーのとりことなり、映画監督になりたいと夢を持っていた。どうすればなれるのか分からず、「海外で映画を撮るなら英語を話せなくては」と、星林高校を卒業後アイルランドに留学。映像制作を学んだ後、ニューヨークに移住。報道取材撮影班として働きながら、「悪魔の毒々モンスター」シリーズで知られるトロマ・エンターテインメントにも籍を置き、設立者のロイド・カウフマンに師事。
2012年に帰国してからは、テレビ番組やCMなどのさまざまな映像作品に携わってきた。20年に監督・脚本を手がけた短編ホラーコメディ「CRYING BITCH」がアメリカ・テキサスSXSW(サウスバイサウスウエスト)映画祭、モントリオールファンタジア国際映画祭に選出されるなど、世界から注目されている。
今回の映画は津野監督初となる長編。鳥取、福島など日本各地約10カ所で撮影。日本を感じさせない壮大なスケール感と異国な世界観をベースにストーリーは繰り広げられる。マシンガンやショットガン、斧やヌンチャク、剣に拳に農具と、あらゆる武器を駆使したアクションも見どころの一つ。
ヒロインは注目の若手俳優、絢寧(あやね)。アクションシーンが多く、撮影に向けて練習を重ねたという。銃火器を使いこなし、戦闘集団と渡り合う激しいバトルシーンを凛とした佇まいで、クールに演じ切った。
作品は、じわじわと面白さがこみ上げる「ジワるコメディ」と名付け、爆笑ではなく、後から思い出して笑えるシュールな笑いがふんだんに散りばめられている。津野監督が得意とするホラーのエッセンスもあるという。
次の作品の企画が進行しているという津野監督。「面白かったらぜひSNSで拡散してほしい」と呼びかけ、「いつか和歌浦を舞台に映画を撮ってみたい」と話している。
同映画は「第41回ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭」に正式出品される他、「本年度の台北金馬ファンタスティック映画祭」、「ファンタスポア・ポルトアレグレ国際ファンタスティック映画祭」でも上映される。
同映画の上映は午前9時20分、午後6時20分の2回。問い合わせは同館(℡073・480・5800)。