建具業者がタッグ 日米文化会館に家具寄贈

和歌山市小倉の㈱ハイブリッヂコーポレーション(髙橋哲男社長)は10月、米国・ロサンゼルス市の日米文化会館に紀州ヒノキを使った建具や家具を寄贈。来館者から高い評価を受け、優れた技術と製品に対して、カリフォルニア州と、ロサンゼルス市から感謝状が贈られた。髙橋社長(53)は「和歌山の技術が海外で評価されてうれしい」と喜びいっぱいに話している。

ロサンゼルスの日本人街・リトル東京にある日米文化会館は、日本の文化やジャパニーズアメリカンを伝える非営利団体。

寄贈のきっかけは、同館のアートディレクターである小坂博一さんが白浜町出身であることが縁で、髙橋社長と知り合ったこと。同館に「新たなコミュニティルームを作る」と聞いた髙橋社長が、寄贈を申し出た。

2月に髙橋社長が「和歌山の良質な木材と建具技術を世界に広めたい」と仲間に相談したところ、3社が賛同。同館の15カ所の窓に障子とキャビネット(収納戸棚)の設置を決めた。プランニング、造作工事、取り付け設置はハイブリッヂコーポレーション、障子は中井産業㈱(同市次郎丸)、キャビネットの製作は和興建産㈱(同市小倉)、塗装は㈲明光物産(同市大垣内)が担当した。

自社ブランド「KITOTE」を展開している中井産業は、組子の間隔に変化をつけることで、縦桟によるグラデーションが現れ、正面だけでなく左右からの陰影の美しさがある障子を作り上げた。

和興建産は、紀州ヒノキの間伐材を利用した集成材を使い、キャビネットを作った。それらに明光物産の明楽昌樹代表取締役(53)は「他にはない塗装をしたい」と試行錯誤を重ね、和歌山の備長炭をイメージした「炭塗装」を生み出した。何度も磨き、塗りを繰り返し、木の柄を生かしながら、まるで備長炭を使っているかのような塗装に仕上げた。

完成したものを船便で送り、10月末、髙橋社長と、ハイブリッジコーポレーションの髙橋一成さん、黒井誠司さんの3人がロスに設置に行った。2日半かけて作業は完了。同会館の職員に披露すると、全員が驚きの声を上げたという。「映画でしか聞いたことのない本当の『オーマイゴッド!』を初めて聞いた。『ビューティフル』、『グレイト』などものすごく喜んでくれ、うれしかった。自分たちの仕事は人を感動させることができるということを改めて感じた」と髙橋社長は振り返る。「日本では和室が減り建具業者も減少しているが、魅力ある仕事として後世に残すため、これからは海外に向け和歌山の技術を発信していきたい」と話した。

 

感謝状を手に(左から)髙橋さん、髙橋社長、炭塗装を手に明楽代表取締役

 

制作した障子とキャビネット