特産「じゃばら」の収穫始まる北山村 全国唯一、飛び地の村の奮闘

人口約400人。和歌山県でありながら、三重県と奈良県に囲まれ、和歌山県のどの市町村とも隣接しない北山村。全国でも唯一の飛び地の村で、97%を山林が占める自然豊かな村です。今や和歌山県で唯一の村を牽引する山口賢二村長は自らの使命を「とにかく村を守る」ことに尽きると言います。私は山口村長の言葉を非常に重く受け止めます。同じ政治家として、同志として、ともにこの過疎化のテーマに取り組む覚悟です。
先日その北山村が日本経済新聞(10月7日付朝刊)の一面を飾りました。見出しには「ふるさと納税、稼ぎ頭は人口400人の和歌山・北山村」とあり、住民一人当たりの収支で北山村が「全国一」であることを報じていました。その黒字額は人口一人当たり122万2838円に達します。これはまさに、山口村長を先頭に村民の知恵と工夫と奮闘の足跡でもあります。
「全国一」を成し遂げた背景には「じゃばら」の存在があります。じゃばらはゆずや九年母(くねんぼ)などの自然交配による品種とされ、江戸時代より北山村に自生していたと言われます。酸味の強い独特の風味の柑橘で毎年11月から12月にかけて収穫されます。その名の由来には邪(気)を払うという意味があり、北山村では縁起のよい柑橘と受け継がれてきました。しかし、昭和の初期以降あまり栽培されなくなり、今から約40年前にじゃばら事業の取り組みを始める頃には村内で唯一1本しかじゃばらの木が残っておらず、存続が危ぶまれる状況でした。
そのたった1本の木から、まさに村の救世主として大切に育てられ、現在では、村内にある約8㌶の農園に約5000本が栽培され、毎年100㌧前後収穫されています。全国の生産量の約85%が北山村で生産されおり、製造・出荷のピーク時には30名近くの雇用を生む、村内では一番大きな産業になっています。
このじゃばらの恩恵を活用して北山村では村の存続をかけて、さまざまな取り組みがおこなわれています。まずはじゃばらの事業収益を高めるために、先日、村内に新たな加工施設が誕生し、私も下宏副知事とともに落成式に出席してまいりました。ふるさと納税を活用したこの新しい施設の誕生により、生産性も高まり新たな取引が生まれることも期待されます。
また、次の時代を担う子どもたちのために山口村長は英語教育を村の強みにされたいという思いで、じゃばらの恵みを活用して子どもたちの英語教育に注力しています。村で外国人講師を雇い、海外への語学研修も実施し「英語教育の村」を目指しています。その他、村外のお客さまを呼び込むための「観光筏くだり」もさらに充実させ、住んで良し、訪れて良しの文字通り全国一の村を目指す北山村。ぜひ、県民の皆さまも一度北山村にお越しください。