循環経済の先進モデルに 県と3社が包括協定
地域のさまざまな資源を再利用、循環させる先進モデルをつくろうと、和歌山県は10日、ENEOS㈱、花王㈱、サントリーホールディングス㈱の3社と「県におけるサーキュラーエコノミー(循環経済)の実現に関する包括協定」を締結した。当面はSAF(持続可能な航空燃料)の製造と燃料回収の仕組みづくりなどに取り組んでいく。
県は昨年10月、地域の特性を生かした産業を生み出し、広域的な資源循環ネットワークの構築を目指そうと、わかやま資源自律経済ビジョンを策定。廃棄されていた製品や原材料を「資源」と考えてリサイクルや再利用して資源を循環させるという、「サーキュラーエコノミー」の推進を盛り込んでいる。
今回、包括協定を締結した3社はこの資源自律経済ビジョン策定の会議にオブザーバーとして参加。また、ENEOSは昨年10月に閉鎖した和歌山製油所跡地でSAFの製造事業を計画、和歌山工場を持つ花王は廃棄プラスチックや排ガスに含まれる二酸化炭素の循環を目指し、サントリーは県内に製造工場はないが、ペットボトルの新たなリサイクル技術を開発。それぞれの資源や技術、ネットワークを生かし、〝和歌山らしい地域資源循環モデル〟の創出を目指す。
具体的には一般家庭での使用済み食用油を原料にしたSAFの製造及び製造時に出るバイオナフサを利用した製品製造、ペットボトルの水平リサイクル(元の製品から同じ品質の製品を製造)、使用済みペットボトルを使ったアスファルト改質剤の製造などに取り組む。
協定締結式は県庁知事室で行われ、岸本周平知事、ENEOS和歌山製造所長の手島政嘉さん、花王特命フェローの山口浩明さん、サントリー常務執行役員の藤原正明さんが協定書に署名。岸本知事は「ワクワクする面白いことをしたい。循環型社会、脱炭素社会のモデルになるよう頑張ろう」と述べた。県の企業との包括協定で複数の企業と一つの協定を結ぶのは初となった。