石ノ森章太郎に出逢う日 大瀬さん回顧展

SF漫画の『サイボーグ009』や『仮面ライダー』などの代表作で知られる漫画家、石ノ森章太郎のチーフアシスタントを務め、現在は和歌山県紀美野町在住の大瀬克幸さん(76)による展示会「マンガトンネル 石ノ森章太郎に出逢う日」が、和歌山市島崎町のじゃんじゃん横丁内カフェギャラリー「モコモコミュージアム」で開かれ、連日多くのファンでにぎわっている。5月12日まで。

大瀬さんは福岡県出身。高校卒業後の1966年、大ファンだった石ノ森のアシスタントとなり、10カ月間、住み込みで働いた。当時の職場の先輩には、後に『デビルマン』や『マジンガーZ』で人気漫画家となる永井豪さんもいた。

今回の展示会は、トンネルを抜けて昭和の漫画の世界を体験しにいくというもの。会場には、石ノ森の作品や挿絵の数々をはじめ、石ノ森が高校時代に創刊し、赤塚不二夫ら仲間と10号まで、1部ずつ作った貴重な冊子『墨汁一滴』の第4号(レプリカ)など約40点が並ぶ。大瀬さん手描きのフォトスポットも設けられ、会期中にはトークショーも開かれる。

『サイボーグ009』のコーナーでは、大瀬さんが描いた同作のアニメ主題歌のレコードジャケットがあり、石ノ森が往年の俳優ジェームス・ディーンを描き、大瀬さんにプレゼントした原画の拡大版なども見ることができる。

大瀬さんは「009は私の青春。懐かしんでもらえたら」と話し、展示を見に訪れた70代女性は「009は夢中になって見ていた。あの頃の出来事など、記憶が戻ってきた」と笑顔を見せた。

石ノ森がコミカライズを手掛けた人気テレビ映画『怪傑ハリマオ』のコーナーでは、展示前で主題歌を口ずさむ人の姿も。有田川町から訪れた男性(77)は「白黒テレビでリアルタイムで見ていた。石ノ森の作品だとは知らなかった。たまたまお店に来たら展示をしていて、いい日にめぐり合えた」と話した。

大瀬さんのトークショーは、回期中の日曜に開催。秘蔵の写真や資料を紹介する他、『仮面ライダー』の誕生秘話や恩師である石ノ森の才能や思い出の数々などを話す。21日は午後6時から、28日、5月5、12日は午後3時から、1時間程度となっている。

大瀬さんは「随時展示作品を追加します。昭和にタイムスリップしに来てください」と来場を呼びかけている。

正午~午後7時、月、火曜は休み。問い合わせは大瀬さん(℡090・3070・6050)。

 

作品を見ながら昭和の思い出を話す来場者