春の叙勲 和歌山県関係は50人
平成24年春の叙勲受章者が29日発令された。県関係者は50人(うち女性6人)で、最高齢は田辺市の梅本富夫さん(88)、最年少は和歌山市の岩田紀子さん(61)。昭和39年実施以来、今回を含めた受章者は4083人(281人)となる。5月下旬から6月上旬にかけて各省庁個々に伝達され、拝謁が行われる。
受章者は次の皆さん。
【旭日小綬章】柏井洋臣(70)元県医師会会長、和歌山市吹屋町【同双光章】髙垣博明(76)元県労働委員会委員、同市芝ノ丁▽坪井徳夫(81)元かつらぎ町議会議員、かつらぎ町▽西山茂之(77)元県高野町議会議員、高野町▽橋本謙二(76)元那智勝浦町議会議員、那智勝浦町▽福山征兒(73)元すさみ町議会議員、すさみ町
【同単光章】岩井寛二(87)元県職業能力開発協会理事、和歌山市吹屋町▽梅本富夫(88)元大塔村商工会会長、田辺市▽大西洋太郎(71)現紀の川市商工会会長、紀の川市粉河▽北岡俊彦(74)現日高川土地改良区理事長、御坊市▽小嶋康方(82)元上富田町商工会会長、上富田町▽武内廣至(82)元清水町商工会会長、有田川町▽土井啓一(87)元龍神村代表監査委員、田辺市▽戸津井竹治(76)元湯浅町公平委員会委員長、湯浅町
【瑞宝中綬章】大川順正(78)県立医科大学名誉教授、和歌山市大谷▽駒井則彦(82)元県立医科大学長、同市西庄▽松村隆志(71)元大阪高等検察庁事務局長、御坊市
【同小綬章】黒田禎純(70)元和歌山市消防正監、和歌山市園部▽鈴木正義(80)和歌山工業高等専門学校名誉教授、田辺市▽中村裕(73)元公立高校長、和歌山市内原▽森本治平(78)元和歌山西警察署長、同市内原▽山﨑清作(74)元県立医科大学事務局長、同市福島
【同双光章】岩垣孝(74)元県議会事務局長、同市毛見▽江川政和(83)元公立小学校長、海南市大野中▽大西泰司(70)元日本郵政公社職員(特定郵便局長)、紀美野町▽金岡憲治(71)現保護司、海南市日方▽小西邦夫(74)元公立中学校長、美浜町▽小林正巳知(78)元広川町収入役、広川町▽巽茂男(86)元公立小学校長、橋本市▽田中篤美(71)元由良町消防団団長、由良町▽玉置馨(79)元公立小学校長、和歌山市葵町▽寺下敦美(75)元和歌山市消防団団長、同市冬野
【同単光章】新井千代子(68)元県技術吏員、同市内原▽岩田紀子(61)現和歌山乳児院看護部長、同市坂田▽小川良子(77)元民生・児童委員、田辺市▽桶谷博(70)元御坊市消防団副団長、御坊市▽後藤昌己(81)元民生・児童委員、田辺市▽静木夏子(73)現民生・児童委員、和歌山市田野▽四宮壽和(63)元法務教官、同市宜▽下村勤(68)元総務事務官、みなべ町▽鈴木明(73)元白浜町消防分団長、白浜町▽田林敏雄(71)元かつらぎ町消防団団長、かつらぎ町▽中西修己(64)元海南市消防団副団長、海南市下津町上▽名越利輔(72)元新宮市消防団副団長、新宮市▽那須健男(69)元中辺路町消防団副団長、田辺市▽福智清(72)元橋本市消防団分団長、橋本市▽藤田房代(79)現工業統計調査員、和歌山市湊▽増本達彦(70)元串本町消防団団長、串本町▽矢本勇(74)元有田川町消防団副団長、有田川町▽米田坦美(64)元特別養護老人ホーム「ときわ寮」主任介護員、御坊市
中小事業所のため尽力
平成21年に旧那賀郡4町 (粉河、 打田、 桃山、 貴志川) の商工会が合併し誕生した県内最大の紀の川市商工会初代会長として、 約1200の会員中小事業所のために尽力してきた。
会長就任後は、 風土や特色が違う旧4商工会の意思統一を図るために奮闘。 経費や事業の見直しにより、 将来的にも円滑に組織運営ができるためのレールを築いた。
旧粉河町商工会では平成元年、 地域への恩返しのつもりで会長職を引き受けた。 その後は、 他地区ではあまり例がない自前の商工会館の建設や観光特産センター設置など手腕を発揮し、 まちの発展のため功績を残した。
長年の商工会役員活動はほぼボランティア。 若い頃から頼まれれば気前よく引き受ける性格で、 さまざまな団体の役職も多く引き受けた。 年間400回の行事に出席することもあったという。
会員事業所の多くは古くからまちの経済を支えてきた対面式販売店。 社会構造の変化により商店主らが従来の商売ができなくなっている現状に 「地域の商売人たちに元気がないと、 絶対にまちは活性化しない。にぎやかなまちをもう一度取り戻したいね」 とまだまだ夢は諦めない。
相手の立場で考える
昭和28年、 19歳の時に県警察官を拝命した。 その約3カ月後、 県内全域を豪雨が襲い、 各地で水害が相次いだ。 翌日、 和歌山港から貨物船に乗り、 被害の大きかった御坊の町へ。 食料運搬などの支援活動に取り組んだ。 これが初めての仕事だった。
38年間の業務の中で最も印象に残るのは田辺、 和歌山東署長の時に発生した連続放火事件。 民家に火を付けた犯人を逮捕するため、 昼夜を問わず捜査した。
証拠品はなくなり、 苦労したという。 犯人を逮捕できた時のことを 「現場周辺の住民が喜んでくれた。 人の役に立てるやりがいのある仕事でした」 と振り返る。
警察官として常に心掛けていたことは 「相手の立場で物事を考えて判断すれば、 大きな失敗はない」。 この教訓は部下にも伝え、 警察官の権力を誤認しないよう指導した。
森本さんは 「支えてくれた同僚や部下の皆さんにお礼を申し上げたい」 と感謝。 「長年の功績が認められ、 感激しています。 残された人生を社会のために役立てたいと思います」 と語った。
家族のように温かく
県内唯一の乳児院で看護師として働き26年目。 受章には 「想像もしなかったこと。 続けてこられたのは、 周囲の支えや家族の協力があってこそ」 と優しくほほ笑む。
施設では、 さまざまな理由で家族と一緒に暮らせないゼロ歳から3歳までの乳児を一定期間、 見守り育てる。 24時間365日体制で緊急一時保護にも対応。 中には生後1週間で預けられる新生児も。
赤ちゃんにとって一番の幸せは、 家族に囲まれて暮らすこと。 「誰よりも寂しい思いをしているのは子どもたちだから」 と、 明るく笑顔を絶やさぬよう心掛け、 どの乳児にもわが子のように接してきた。
親の元に戻ったり、 里親に引き取られていく子どもたちには 「今まで愛情をかけてもらえなかった分、 愛してもらえたら」 と幸せを願いながら送り出す。
子どもを預ける理由の中でも、 最近では虐待が背景にあることが多くなっていることに「核家族化の影響か、子どもの育て方が分からないお母さんが増えている。保育施設も大いに利用しリフレッシュして」とアドバイス。きょうも温かいまなざしで、小さな命に向き合う。