和歌祭5年ぶり地元開催 絢爛豪華な時代絵巻

和歌山市和歌浦西の紀州東照宮の例祭「和歌祭」が12日、和歌浦一帯で行われた。100人を超える男衆が勇ましく本殿から続く108段の石段を駆け下りる「神輿(みこし)おろし」で祭りは幕開け。華やかな衣装をまとった行列が地域を練り歩き、訪れた多くの人が絢爛(けんらん)豪華な時代絵巻を楽しんだ。

同祭は、初代紀州藩主徳川頼宣が父・家康の霊を慰めるため1622年に始めた。縮小や中断、再開などさまざまに形を変えながら400年を超えた今も継承されている。2022年の400年を記念した式年大祭は市内中心部で行われ、新型コロナや悪天候による中止で地元での開催は5年ぶり。

神輿おろしは、重さ1・3㌧の大みこしを男衆が担ぎ、「チョーサー、チョーサー」と威勢のいい掛け声とともに石段を下り、見物客からは大きな歓声が上がった。

同祭実行委員会の中山豊若委員長の掛け声「エイエイオー!」で渡御行列は紀州照宮を出発。徳川頼宣の生母、お万の方にちなんだ芸能と伝承されている団扇太鼓(うちわだいこ)、反物を上に積んだ櫃(ひつ)を担ぐ行商人のいでたちをした子供連尺、和歌祭の創始からある餅搗踊(もちつきおどり)など約40の演目に1000人が参加し、和歌浦漁港や万葉館、あしべ通りまでの約4㌔を練り歩いた。

道中で子どもを怖がらせていた面被(めんかぶり)は、歌舞伎風の化粧をして頭上に面を着け、子どもを見つけると鳴り物を鳴らして驚かせた。泣いた子どもは健康に育つと伝えられ、大泣きする子どもを見て親はにっこり。

ことしは、明治以降から途絶えていた「猿引(さるひき)」がプロの猿まわし集団の協力で復活。また元気いっぱいの声と笑顔で華やかにみこしを担ぐ「女子神輿」にチームで初参加する人も。和歌浦漁港の前でカフェ「ハルエスプレッソワカウラベース」を営む大判奈代さんが、協力して地元の祭りを盛り上げたいと周囲に声をかけ、20~40代の30人を集めた。赤半被を着た勇ましい姿に沿道から拍手と声援が送られていた。

大判さんは「しんどくてクタクタになったけど、めちゃくちゃ楽しかった。初めての良い経験をさせてもらった。来年も出たいとみんな張り切っている」と笑顔だった。

威勢のいい掛け声とともに108段の石段を下りる神輿

威勢のいい掛け声とともに108段の石段を下りる神輿