旧堰の完全撤去求める 和市議連が石碑設置
水害対策や安定取水などを目的に、和歌山市の紀の川に設置された新六箇井堰の撤去を求めている「紀の川大堰に関する和歌山市議会議員連盟」(山本宏一会長)は27日、撤去の必要性を広く周知するため、「新六箇井堰切欠工碑」を同堰近くの市道沿いに設置し、完成披露式典を行った。
新六箇井堰は、農業用水の供給を目的に1957年に完成した固定堰で、六十谷橋とJR阪和線橋梁の間に位置する。2008年、下流側に可動堰の紀の川大堰が完成したことで役目を終え、10年度には上部が撤去されたことにより、1959年9月に発生した伊勢湾台風並みの洪水を安全に流すことが可能になった。
しかし、現在も水中に一部が残り、水害のリスクが指摘されていることに加え、特に近年、台風や線状降水帯などによる風水害の激甚化が心配されている。市議会は06年に同議連を立ち上げ、市当局と協同して全撤去を国に求めてきた。
要望活動により、23年度には水中に残る部分の一部を撤去する「切欠工」が始まり、右岸側(北)に偏っている紀の川の流れを中心部に寄せ、より治水を安全にする事業が進展した。これを受けて同議連は、全撤去の必要性を改めて周知し、気持ちを新たにする目的で切欠工碑を設置。碑は、紀の川を掘削した砂を使って作られている。
披露式典は新六箇井堰近くの六十谷第1浄水場で行われ、山本会長はじめ議連の市議7人、尾花正啓市長、戸田正人議長、丹羽直子副議長らが出席した。
山本会長は「完全撤去まで、しなければならないことはまだまだたくさんある。きょうはスタートの日だという思い。直川、紀伊、川永、山口地区の治水を考えたら、一日も早く安心安全を確保するために、今後とも議会と当局が一緒に頑張っていかねばならないとの決意を新たにしている」とあいさつ。尾花市長は、完全撤去を目指す同議連の長年にわたる活動に感謝し、「皆さんの熱心な活動のおかげで、切り欠きという形で一部撤去が実現した。大きな一歩だと思う。共にさらなる治水安全の向上を促進していきたい」と話した。
式典後、出席者は碑の前に移動し、碑と解説プレートの除幕を行った。