天ぷら油回収始まる 燃料精製へ実証
天ぷら油など家庭から出る廃食油を回収し、CO2削減効果の高い燃料などに利活用する和歌山県の実証事業で、モニター登録者による回収拠点への油の持ち込みが1日に始まった。
石油元売り最大手のENEOS(エネオス)㈱が、旧和歌山製油所(有田市)で持続可能な航空燃料(SAF)の製造事業の実施を目指していることを受けての取り組み。
実証事業は、和歌山、海南、有田の3市で実施。モニター登録者に専用ボトルを配布し、スーパーなどに設けた回収ボックスで使用済み植物性食用油(消費期限切れを含む)を集める。廃油の量や回収頻度などのデータを取り、県内家庭からSAFの原料がどの程度供給できるのか、持続的に可能なのかなどを検証する。モニターは3000人を目標とし、1日時点で約950人が登録している。
回収ボックスを設置している和歌山市友田町のスーパー、サンキョー和歌山駅店では1日、廃油のボトルを手にしたモニター登録者が訪れ、回収ボックスに入れた後、新しいボトルを持って帰る姿が見られた。
モニターで市内の会社員の前淑子さん(54)は、次女の帰省に合わせて好物のエビフライなどを揚げた廃油を持参。「今までは牛乳パックに古い布を入れて染みこませて捨てており、面倒だった。買い物ついでに持ってくるだけで回収してくれるので、ありがたい。リサイクルされるので、良いことをしている気持ちになれるし、飛行機の燃料になるかもしれないと思うと夢がある」と話していた。
モニター登録者は随時募集中。詳しくは県成長産業推進課ホームページ。