和市が耐震改修補助を拡充 野犬対策強化も

補正予算案の防災関連事業を説明する尾花市長
補正予算案の防災関連事業を説明する尾花市長

和歌山市は4日、総額14億768万2000円を増額する2024年度一般会計補正予算案など、11日開会の9月定例市議会に提出する案件を発表した。補正予算案では、住宅の耐震改修・補強の補助事業への申し込みが増え、キャンセル待ちが発生している状況を受け、市独自で拡充することや、雑賀崎周辺地域などで増加している野犬の対策を強化する事業などが盛り込まれている。

年始に発生した能登半島地震や8月に発表された南海トラフ地震臨時情報などを受け、市民の防災意識が高まり、住宅の耐震改修・補強の支援事業は申し込みが増加。一方、全国的に補助事業の予算が不足する事態が発生し、市の耐震改修・補強支援事業への国の補助金も当初予定の100件分から82件分に減額され、8月時点で33件のキャンセル待ちが出ている。市は今回の補正予算案に、33件分の費用3847万8000円を単独支出として計上し、支援を行う。

また、防災ラジオ貸与事業の申込数も当初予定の1000台を上回る見込みとなり、200台分を追加する費用として202万7000円を計上。円滑な避難行動を促すため、海水浴場周辺に避難誘導標識を設置し、防災マップを増刷する事業には123万円となっている。

尾花正啓市長は4日の定例記者会見で「地震や津波への備えということで、市民にはぜひ活用していただきたい」と呼びかけた。

野犬対策は、雑賀崎周辺や加太地区で野犬が増え、住民から不安の声が上がっていることを受けて強化する。市が7月上旬に行ったパトロールでは、雜賀崎周辺で約40頭の野犬を確認しており、実数はさらに多いとみられている。

強化対策の内容は、目撃される機会が多い早朝などの時間帯に捕獲活動を集中して行うこと、捕獲用おりに、地面との段差がないなど犬の警戒心が少なくなる改良型を新たに導入すること、夜間に保護目的以外に餌やりをする人への指導の実施などで、165万6000円を計上している。

捕獲した野犬にはマイクロチップを取り付け、市が保護した犬であることを確認できるようにし、人に慣れる訓練などをした上で譲渡先を探す。

保護目的以外で餌やりをすると、野犬がさらに増える原因となりかねないことから、尾花市長は「特に餌やりはやめていただきたいと思っている。指導のパトロールを強化していきたい」と述べた。

補正予算案ではこの他、健康への影響が懸念される有機フッ素化合物(PFAS)について、従来から検査している水道水に加え、市内13カ所の地下水の検査を行う事業や、来年4月開校の市立夜間中学校の施設整備や物品の費用なども盛り込んでいる。

9月議会への提出予定案件は、予算関係を含む議案24件、報告関係5件、決算認定5件。

9月議会は11日開会、10月1日閉会の21日間。13、17、18日に一般質問、19、20、24~26日に常任委員会を予定している。