神秘の惑星を表現 漆芸家の橋爪さん作品寄贈

寄贈した作品の前で笑顔の橋爪さん㊧と神出市長
寄贈した作品の前で笑顔の橋爪さん㊧と神出市長

和歌山県海南市黒江の漆芸家、橋爪靖雄さん(89)が、同市日方の海南医療センターに漆作品「神秘2012」を寄贈し、16日に同センターで神出政巳市長から感謝状が贈られた。

橋爪さんは1962年に第5回日展に初入選。86年に海南市文化賞を受けた。99年に日本漆工協会優秀漆工技術者表彰、2000年に県文化功労賞、15年には県名匠表彰を受けている。

これまでに同市の浄国寺の蒔絵(まきえ)天井画など多数の作品を手がけている。

橋爪さんが、同センターに通院した際「この空間にもう一つ作品があったらいいな」と思い、寄贈を申し出た。

作品は縦167㌢、横77㌢。2012年は、金環日食が観測され、金星の太陽面通過、金星の前を月が横切り隠す金星食など、天体に関する出来事があったことから、惑星をモチーフにした作品を制作した。

上部には丸い惑星が描かれ、平文(ひょうもん)という技法で模様部分を研ぎ出した錫(すず)を使用したリボンのようなデザインが施されている。

蒔絵で銀河を表現し、螺鈿(らでん)で装飾、地球を表す草花を描いた。橋爪さんは「海南には、こういった漆工芸があるのを知ってもらえたら。たくさんの人に見てほしい」と話した。神出市長は「価値ある素晴らしい作品。寄贈していただきありがたい」と話した。

作品は1階の外来ステーション前に掲げられている。