壁を越えた対話目指し 受刑者の絵画や詩を展示
全国各地の刑務所で服役する受刑者が制作した絵画やエッセイなどを紹介する展示会が、和歌山市西高松の県立図書館展示室で開かれている。12月18日まで。主催は、少年の立ち直りや自立を支援し、非行防止活動を行う和歌山市BBS会(高垣晴夫会長)。同会では「誰もが被害者にも加害者にもなりうることを想像しながら、表現を介して、さらなる暴力を生まない、共に生きていく道を考えるきっかけになれば」としている。
表現を介して刑務所という場所やそこに生きる人々について想像を巡らせながら、加害者と被害者、刑務所の内と外という立場を超えた対話の場につなげようと企画された。
「プリズンアート展~〝なぜ犯罪を?〟考える社会に~」と題して開催。これまで東京で開かれてきたが、和歌山での開催は初めて。
虹が出る空を見上げる龍の絵には「私は荒波打つ刑務所から空を見上げる龍。社会復帰まであとわずか。社会という高い高い虹の向こうへ飛び立つために力を蓄えている」とメッセージが添えられている。
また、刑務所生活7年目に入った人のエッセイには、子どもの頃の思い出とともに「人の言葉も聞かずにわがままを通してきた。その結果何もかも崩れ去り、残ったのは悲しみという人生の汚点」と反省の思いが綴られている。
特設コーナーには、1983年に愛知県で発生した保険金目的の殺人事件で死刑となった長谷川敏彦氏が、死刑執行前に刑務所内で描いた肖像画や風景画なども展示している。
入場無料。休館日月曜。平日午前9時から午後7時(土日祝は6時)まで。
関連企画として、12月7日午後2時から同館2階メディア・アートホールで「芸術での交流で無知と偏見をなくす上映会&トークショー」を開く。
受刑者がなぜ再犯してしまうのかをテーマにした映画「ふくろう人形の秘密」を上映。高木裕己監督と、同展示会の提唱者で「刑務所と芸術」をテーマに研究と実践を重ねる奈良県立大学の講師の風間勇助さんがディスカッションする。
問い合わせは事務局(℡073・436・2501)。