安原幼2人が優秀賞 筆文字で伝えたいことば
日本デザイン書道作家協会主催の「第9回筆文字で伝えたいことば大賞」で、安原幼稚園(和歌山市松原)年長児の阪本暁宥(あきひろ)さん(6)と山本美心(みこと)さん(6)が優秀賞に輝いた。幼児、学生、一般の部で全国から1933作品の応募があり、幼児の部の受賞は優秀賞のみの3作品。狭き門での快挙に、指導した同市の書家、北原美麗さん(60)は「園児たちが受賞できてうれしい。子どもの意図しない線質や表現力に驚かされます」と喜んだ。
同コンテストは、文字を手書きする習慣が減る中、筆文字を書く楽しさを多くの人に知ってもらおうと企画。筆で自由に言葉を書き、2文字以上、20文字以内で表現する。
北原さんは自身が主宰する書道教室や、月に2回指導する同園の子どもたちから作品を募集した。
阪本さんの作品は、絶妙な墨のかすれ具合が特徴の「むりや」。姉のお菓子をこっそり食べようとポケットに忍ばせたが、見つかってしまった無念さを表現した。阪本さんは「ガム、こっそり食べたかったのに無理やった」と照れ笑い。
山本さんの作品は「かえるぴょんぴょん」。家の近所でがまがえるを見つけた時の驚きを書いた。左利きの山本さんに、北原さんは「熟練の経験者でも左手では困難な文字ばかりですが、何とも言えない表現力がある」と話した。
3日に東京で行われた表彰式には、園児に代わり同園の入川真希子副園長らが出席。審査員を務めた同協会の久木田ヒロノブ理事長は阪本さんの作品に、「一目見て『やられた』という感じ。大人にはできない線質があり、関西弁も良い」と講評した。阪本さんの母、宏美さんは「暁宥らしい表現と思いました。三人きょうだいの末っ子で天真らんまん。この文字に家族も大笑いしました」と感想を寄せた。
北原さんは「子どもたちは習字という概念がなく、勢いや自由な発想で書くところが、デザイン性のある作品につながっている。子どもたちの気持ちを引き出しながら楽しく取り組んでいけたら」と話した。