阪神大震災から30年 和歌山市で防災訓練

被害状況などを共有し合う職員ら
被害状況などを共有し合う職員ら

阪神・淡路大震災から30年を迎えた17日、和歌山市で防災訓練が行われ、同市、県防災航空センターの職員ら延べ207人が参加した。南海トラフ地震への懸念が高まる中、非常参集訓練から初動対応訓練まで一連の災害対応をシミュレーションし、災害発生時における迅速かつ的確な行動を確認した。

この訓練は職員一人ひとりの防災意識や災害対応能力の向上に加え、防災関係機関との連携強化を目的に実施。午前7時、南海トラフ地震による震度7の揺れが市内を襲い、大津波警報発表や沿岸部の一部浸水、ライフライン寸断などを想定して行った。

同時刻に自宅にいる職員らに参集メールが配信され、職員らは速やかに市役所前の西の丸広場に集まった。

午前8時半ごろ、尾花正啓市長が「南海トラフ地震はいつ発生してもおかしくない」と訓練の士気を高め、「自分自身の安全を優先しながら、それぞれが職務を全うするように」と指示した。その後、職員らは走って市総合防災対策本部に駆け込んだ。

初動対応訓練ではあえて防災関係機関などからの被害状況の提供を多くし、職員が情報の優先度を効率的かつ的確に判断する能力を高めようとした。職員らは「指揮調整班」や「広報広聴班」などに分かれ、それぞれ情報を共有し合った。

さらに防災ヘリコプターを用いた被害状況調査をし、地上からでは視察がしづらい紀の川の上空映像をモニターに映し出し、川の氾濫状況などを確認した。

訓練後、市総合防災課の吉川拓弥主査(37)は「職員の防災意識や対応能力を高め、南海トラフ地震などでの被害を最小限にしたい」と話した。