衛星通信で防災力強化 県予算の知事査定
和歌山県は16日、2025年度の当初予算編成に向け、岸本周平知事による査定を始めた。新年度に予定している約1100事業のうち、特に政策的判断を要する7事業、予算要求額で約3億円分が査定の対象となり、21日まで行われる。
初日は、防災体制強化の一環として、アメリカの民間企業スペースXが運用する衛星インターネットシステム「スターリンク」を導入する危機管理部の事業(予算要求額約2800万円)から査定が始まった。
担当職員は、能登半島地震などの教訓を踏まえ、災害発生初期に通常の通信回線が使用できなくなった場合に、衛星回線があることで、初動の重要な情報をいち早く共有できるなどの意義を説明。岸本知事からは、すでに衛星携帯電話を導入している中、どのような必要性があるのかなどの質問があり、担当者は、音声だけでなく映像などの大容量の情報にも対応できるメリットを答えた。
県は、大規模災害に伴う市町村の機能低下や、市町村の規模では対応ができなくなる事態に備え、被災市町村の状況把握や災害対策本部の支援などのために派遣する県職員「災害時緊急機動支援隊」を設けており、スターリンクは18台を各隊に配備する計画となっている。
岸本知事は「合理的な要求だ。災害初期の情報収集は大事であり、県にとって大変重要なツールになる。スターリンクを使って万全の体制を準備してほしい」と話し、事業を承認した。
査定を経た25年度当初予算案は2月中旬に発表を見込んでおり、20日開会予定の定例県議会に提案される。