トラブル時こそチャンス 花王の特別顧問が講演

講師の澤田さん
講師の澤田さん

和歌山市西布経丁の北畑会計事務所は20日、同市湊通丁北のホテルアバローム紀の国で2025年度の「経営計画発表会」を開いた。ゲストに花王㈱特別顧問の澤田道隆さんを迎え、「企業の未来を創る『人的資本経営』の取り組み」を演題に講演。事務所の顧客や会社を経営する一般来場者など152人と事務所職員の約20人が参加した。

同事務所は1989年に開設。県内で経営計画書(方針書)の作成指導実績が最多の実績がある。経営計画書について学び、経営に役立ててもらおうと年に1回、同発表会を開催している。

澤田さんは1981年、大阪大学大学院工学研究科プロセス工学専攻の修士課程を修了。同年、花王石鹸㈱(現在の花王㈱)に入社。以後、研究開発部門に携わった。ベビー用の紙おむつ「メリーズ」の再生に寄与。2012年代表取締役社長執行役員、21年取締役会長、24年特別顧問に就任した。

講演で澤田さんは、「不確実な時代を切り開くポイント」として、現象にとらわれず背後にある本質を見極めた上で行動するという「本質思考」による経営の重要性を説明した。花王のロゴマークの歴史や、トップとして常に意識してきたこと、自身が関わった商品開発での失敗談なども披露。コロナ禍における中国の化粧品業界の急成長を例に挙げ、「トラブルの時をチャンスと捉え、それを生かせるか」と強調。また、「インターネットではなく紙の新聞を読んでください。全部読むと世の中のいろんなことが分かる」と話した。

講演を聞いた同市和歌川町で薬局を経営する松本正康さん(70)は「とても勉強になった。いつも同じことを同じ見方でやっていて、マンネリ化が課題。話を参考に、新しい顧客づくりに励みたい」と話した。

講演後、同事務所が本年度の方針や売り上げ目標などを発表し、懇談会が開かれた。