「ビーシータケ」初出荷 中野BCがキノコ栽培事業

「ビーシータケ」を手に山下係長㊧と我藤所長
「ビーシータケ」を手に山下係長㊧と我藤所長

和歌山県海南市藤白の酒造会社、中野BC㈱(中野幸治代表取締役社長)が、新たにキノコ栽培事業を始めた。主力商品となるシイタケはその名も「ビーシータケ」。お酒のあてやメイン料理にもなり、肉厚でジューシー、うま味もたっぷり。シイタケが苦手な人でも食べられると早くもリピーターが続出している。17日には和歌山青果へ初出荷され、今秋にはキノコの栽培ハスウを増設予定。本格的に事業をスタートする。

同社は創業当時から、しょうゆや清酒、梅酒、健康食品など、さまざまな新事業に挑戦し、研究開発してきた。

新事業を模索する中、同社食品科学研究所の我藤伸樹所長(55)が「キノコに挑戦したい」と発案。2024年1月にアグリ事業部が新設され、6月に栽培を開始した。

我藤所長は、同社の日本酒造りで使用する麹菌の研究にも携わることから、「菌のコントロールなら社にもできる。健康にも良いのでやってみたい」と提案。我藤所長とアグリ事業部の山下秀樹係長(53)を中心に、シイタケの栽培を始めた。 

栽培には菌床の水分量に苦労したといい、水が多くても少なくてもカビが発生してしまい、室内の湿度の調整が難しかったという。

食べ頃を収穫していく
食べ頃を収穫していく

毎日シイタケに向き合い、日本酒製造のノウハウを生かし、適した温度や湿度を見つけた。現在は室内に菌床4000玉が並び、1玉から約15本のシイタケを収穫している。

実は二人ともシイタケは苦手だったという。山下係長は開発のため数十年ぶりに食べたところ、あまりのおいしさに完食。我藤所長も「シイタケってこんなにおいしかったのか」と認識が変わったと話す。

同社のシイタケは、バターしょうゆや焼きシイタケの他、天ぷらにしてもしっかりした食感で食べ応えがある。お酒にもご飯にも合う万能食品で、我藤所長は「シイタケが好きな人はもちろん、これまで食べず嫌いだった人も試して、おいしさに気付いてほしい」といい、山下係長は「たくさんの人にシイタケの良さが広がれば」と話している。

今後は、酒粕や梅など、同社の製品を菌床に混ぜたりするなど、オリジナル商品にも挑戦したいと意欲的。「ビーシータケ」は、同社の直売店や、道の駅海南サクアス(同市下津)、JAながみねとれたて広場(同市重根)で主に平日に購入できる。150㌘で216円。