野上中、美里中が閉校 紀美野中へたすきつなぐ


本年度末で閉校する野上中学校(和歌山県紀美野町下佐々)と、美里中学校(同町野中)で22日、閉校式が行われ、野上中は67年、美里中は42年の歴史に幕を下ろした。4月からは、紀美野中学校として野上中学校校舎を活用して開校する。
野上中学校は1958年4月、東野上、小川、不動中学の3校が合併し、501人の生徒でスタート。三つのペン先がデザインされた校章は、3校統合を象徴している。校歌は初代校長の吉田敏さんが作詞。小説家の武者小路実篤が書いた校訓が残されているなど歴史があり、これまで7702人の卒業生を送り出した。
式典には、先日卒業した生徒を含め、卒業生や関係者ら約200人が出席。最後となる校歌を歌い、校旗を小川裕康町長に返納した。
生徒会長の田渕佑樹さんは、最後の一年間の学校行事では、常に「野上中学校最後の」という言葉が付き、行事が終わるたびに閉校の日が近くなることを感じたと振り返り「1、2年生は野上中学生として入学し、紀美野中学生として卒業する。私たちが野上中学校のたすきを紀美野中学校へつなぎ、誇れるような学校をつくっていきたい」とメッセージ。
尾﨑弘和校長は「残っている貴重な資料を見ていると、開校当時から関わった人たちの熱い思いが伝わってきた。両校の伝統を受け継ぎ、新たな伝統をつくり上げていくことを応援し続けていきたい」とあいさつした。
開校時に1年生(3期生)で入学した東泰康さん(79)は、姉や妹と式典に出席。校歌を歌う様子などをカメラに記録しながら、最後の時間をかみしめた。東さんは、吉田校長に、命や物を大切にする心を学び、心に響く教育を受けたことに感謝し「校歌は、1期生の卒業式1週間前に完成した。この校歌には命の大切さや世界平和、これからの生き方が詰まっている。最後の校歌を感動しながら歌った」と話した。
式典後は、生徒会が同校の歴史をスライドやクイズで振り返り、1期生の卒業式は運動場で行ったことや、火事で校舎が焼失したことなどを紹介した。