視覚障害者と心一つに 紀の国ブラインドランナーズ

視覚障害者と、伴走者でつくるサークル「紀の国ブラインドランナーズ」が発足から8年目を迎えた。ブラインドランナーと伴走者が呼吸や歩調を合わせ、まさに一心同体でゴールを目指すのが大きな喜びだという。メンバーはそれぞれの目標を定め、日々練習に励んでいる。
伴走者は、視覚障害のある人と「絆」と呼ばれるロープを握り合って走る。障害者の目となり、声かけや動作でコースの情報を伝え、安全にゴールへ導く。
サークル代表の松林正樹さん(51)は、2013年に初挑戦したフルマラソンを完走。その後もマラソンを続ける中でブラインドランナーを見かけ、「自分も力になりたい」と、大阪で伴走ボランティアの基礎を学んだ。
18年12月に参加したリレーマラソンをきっかけに、視覚障害のある人たちと共にサークルを立ち上げた。現在は約65人が在籍し、20~70代の障害者の伴走をする。ジャズマラソンやパンダランなど、主に和歌山県内のレースに参加している。
松林さんは「視覚障害者は運動不足の人も多く、『走りたい』『歩きたい』との思いを持っている人もいる。モチベーションアップや健康的な生活につながる。腕を振って楽しみながら一緒に走り、ゴールまでサポートしていきたい」と話す。
紀の川の河川敷で練習し、楽しみながら汗を流す。視覚障害者はマンホールの1㌢の段差や、木の根の盛り上がりなどで転倒してしまうなどの危険もあるため、「先にマンホールがある」「自転車が前から来て横を通過する」など常に声をかけ、モチベーションを高めて伴走する。
弱視の20代の男性は長年1人で走っていたが、徐々に見えなくなり1人では走ることができなくなったという。男性が勤務する会社の職員から「気持ちもふさぎがちで元気がなくなってしまっている」と相談を受けた松林さんは、男性と伴走のジョギングを始めることに。
すると、男性は再び走る喜びを手に入れ、目標にした2024年の大阪マラソンを完走することができた。松林さんは「走ることを諦めてほしくない。頼ってほしい。視覚障害者と伴走者が走る光景が日常になればうれしい。誰でも楽しく参加してください」と話している。
また、サポートしたいが走るのが苦手だという伴走者は、歩くだけでもいいという人のウオーキングサポートもできる。
問い合わせはフェイスブックからかFAX(073・455・9385)で。