難病でもボクシングを 北畑さんが練習再開

田村代表㊨とミット打ちの練習をする北畑さん
田村代表㊨とミット打ちの練習をする北畑さん

全身の筋肉が徐々に動かなくなる指定難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の患者、和歌山市の北畑達哉さん(65)が、右手を動かすのが困難な中、かつて取り組んでいたボクシングの練習を、左手だけで再開した。

北畑さんは30代後半から40代前半にかけてボクシングに取り組み、ブランクの後、50代後半で、30代以上のアマチュアや元プロが対象の大会「ザ・おやじファイト」に出場したこともあった。

その後またブランクがあったが、2023年8月にALSと診断され、右手は箸を持つことも難しい状態となる中、体を動かしたいとの意欲が強まり、再びボクシングに取り組むことを決意。24年12月から、和歌山市元寺町のWAKAYAMA ECO BOXING GYM(ワカヤマエコボクシングジム)に通い始めた。

受け入れを相談された同ジムの田村英基代表(49)は、初めての難病患者の練習生に戸惑いはあったが、北畑さんの体調を考慮しながら、毎週1回、2分のミット打ちを2~3ラウンドなど約30分のメニューを指導。「意欲をすごく感じる。自分が同じ立場なら、もう一度練習しようなんて前向きになれないと思う。なかなかできないこと」と感心する。

北畑さんは、練習を再開してから左手の動きがよくなり、病気の進行も遅くなっていると感じている。「指導を引き受けてくれて感謝している。難病でもボクシングができることを知ってもらい、もっと広がっていけばと思う」と語る。

同ジムには、プロを目指す若手や、実績のあるアマチュア選手、フィットネスの目的で練習する女性など約40人の練習生がいる。ボクシングをしたい理由は人それぞれ。田村代表は「できるだけ一人ひとりに寄り添うことを心がけている。和歌山のボクシングを盛り上げ、支えていけたらという思いで頑張っている」と話している。

同ジムについての問い合わせは田村代表(℡080・8941・0005)。