簡単ではない消費減税 物価高、まずは緊急対策で

知事選挙では、自民党も推薦した宮崎泉さんが皆さんのご支援のおかげで当選を果たされました。ご支援に心から感謝申し上げます。長年県政にかかわってこられた経験や人脈を十分に生かして、和歌山県発展のために全力を発揮していただけるものと確信しております。宮崎新知事のご活躍を心から期待いたします。

さて、消費税減税を求める声が、国民や政党を含め大きくなっています。そのような中、4月25日の日経新聞「大機小機」に、以下のような「消費減税論への7つの問い」が掲載されました。

①今はインフレである。景気刺激のための減税はインフレを加速する。困窮者対策が目的ならば、受給対象を絞った給付金が適切なのではないか

②今の日本経済は需要が足りないというより供給力不足が問題だ。消費減税という施策では人手不足という課題には無力である

③消費税率を変えるには法改正が必要であり、年内実施は容易ではない。また、実施前には必ず買い控えが発生する。消費税減税という政策には即効性を期待しにくい

④時限的な消費減税を実施する場合、いつ戻すかが課題

⑤消費減税の際には、会計ソフトの更新など事業者の負担は、増税時と同じコストがかかる

⑥消費減税によって個人消費が増えるという保証はない。減税による増収は疑わしい

⑦減税によって国の財政赤字がさらに悪化することで日本国債の格下げリスクも無視できない。長期金利を上昇させ、企業のコストを増やすとともに住宅ローン金利などを通じて国民生活を圧迫する

以上は初歩的シミュレーションである。「減税は民意である」と唱える人たちは、せめてこの程度は考慮しておいていただきたい。

およそ以上の内容でした。

たしかに物価高や米国関税措置への対策は必要です。ただ、たとえばガソリン価格は、原油が下落傾向であり同時に為替も少し円高に振れていることから落ち着くものと思われますし、コメや野菜も遠からず落ち着くものと思われます。また、米国関税についてもトランプ氏特有の最初に高めのボールを投げるディールであり、既にさまざまな見直しが行われていることからバタバタするのではなく、しっかり交渉の経緯を見た上で対応すべきです。

このように変動要因が大きい現状では、物価高はまず緊急対策によって対応すべきだと考えます。政府は、備蓄米については夏まで毎月10万トンずつ売り渡し、小売り主導の入札優先枠の設定などを取りまとめました。また、ガソリン・軽油は5月22日から段階的な引き下げを開始し、リッター当たり10円引き下げます。そして、電気使用量が増加する7・8・9月の3カ月について電気ガス料金への支援を検討しています。さらに、状況に応じて低所得者対策も検討すべきだと考えます。

いずれにしても、制度の変更、とくに消費減税は、時限的というには「言うは易く行うは難し」であり、その減収分をどう賄うか、さらに財政悪化に伴う市場の信認低下リスクなどを考えれば、簡単なことではないと思います。

現在は一刻も早く賃金と物価の好循環を実現し、先進諸国の賃金や物価水準に追いつけるよう頑張ることが重要です。