山東省のドラマ『三泉渓暖』 小説化で書籍贈呈

贈呈式に出席した皆さん
贈呈式に出席した皆さん

和歌山県と友好提携している中国・山東省を舞台とした同国の大ヒットドラマ『三泉渓暖』が小説化され、日本語版の県国際交流センターへの贈呈式が22日、和歌山市手平の和歌山ビッグ愛で行われた。同書を出版した山東出版グループや同省宣伝部、ドラマ制作の関係者らが来県し、今秋にドラマを放送予定のテレビ和歌山の関係者らと共に、両県省の新たな文化交流を喜び合った。

『三泉渓暖』は、一世紀にわたり稲作が続いてきた農村・三泉村を舞台に、故郷の農業の近代化、活性化に尽力し、村人たちを豊かな生活へと導いた女性リーダーの高雲渓(ガオ・ユンシー)を主人公とする、実話に基づくドラマ。農村の持続可能な開発に向けた新技術の導入、環境への配慮、伝統的な民俗習慣の改善など、さまざまな課題を打開していく主人公らの奮闘が全27話で描かれる。

2022年5月に国営の中国中央テレビで初放送され、テレビドラマの全国視聴率1位を記録。その後も衛星放送などさまざまなチャンネルで繰り返し放送され、中国全土で高い評価を得ている。

省宣伝部や映像制作会社、同グループなどが共同で制作。和歌山市と友好提携している省都・済南市の章丘区で撮影が行われ、主演を務めた同市出身の人気俳優・王力可さんをはじめ、制作スタッフの大半を同省の人々が占めている。

和歌山ビッグ愛での式典には、山東省側から省宣伝部の魏長民副部長、山東出版の劉文強社長、ドラマを手掛けた楊甲兵プロデューサー、主演の王さんらが来県し、和歌山側はテレビ和歌山の大越康臣社長、県国際課の山本昌弘副課長、県国際交流協会の鈴川典之常務理事らが出席した。

劉社長は「中国の農村振興を描いたドラマを皆さまと共有し、小説の日本語版出版を共に祝うことができ、感慨深い」とあいさつ。ドラマと小説による『三泉渓暖』の和歌山への発信は両国の文化交流を深化させる新たな試みだとし、「皆さんが現代中国を理解し、特に山東の文化を感じ取る一つの窓口となり、両国民の心の共鳴と相互理解をさらに促進することを確信している」と述べた。

大越社長は、両県省の交流をさまざまに取り上げてきたテレビ和歌山にとっても、書籍やテレビ番組によるメディアの交流は今回が初めてだと紹介。「ドラマや書籍を通じて魅力ある山東省について和歌山の人々に興味を持ってもらい、次の機会には山東省の方々に和歌山に興味を持ってもらい、メディアの力で両県省の友好関係がますます深まるよう、今後もお手伝いさせていただく」と話した。

山東出版は、両県省が友好提携40周年を迎えた昨年にも、山東省生まれの儒教の祖・孔子に関する書籍などを県国際交流センターに贈っている。今回の『三泉渓暖』の小説も、和歌山ビッグ愛8階の同センター図書コーナーに並び、誰でも読むことができる。