北山村とナウル広報連携 〝小さい〟同士魅力発信

全国唯一の飛び地として知られる和歌山県北山村と、太平洋南西部の島国・ナウル共和国の大阪万博パビリオンは10日、「小さな国と小さな村が世界につながる」ことを目指し、広報連携に合意した。協定書の調印式は同日、ナウル共和国パビリオンで行われ、同村の泉清久村長とナウルパビリオンの政府代表代行、シャンディー・フランチェスカ・エイケンさんが出席し、それぞれ署名した協定書を取り交わした。
ことし7月に同国政府観光局の日本版X(旧ツイッター)公式アカウントが広報連携を呼びかけた投稿に、同村観光協会の公式アカウントが呼応した形で、SNSをきっかけとした国際的なスピード調印は異例のことだ。
同国は面積21平方㌔㍍で、湯浅町とほぼ同じ。バチカン、モナコに次いで世界で3番目に小さな独立国で、人口は約1万2000人。協定書では県内唯一の村で全国唯一の飛び地である北山村(人口約380人)が連携することの意義を発信していくとしており、調印式終了後、さっそく同パビリオンでは同村が原産のかんきつ類「じゃばら」を使ったジュースなどが展示された。
今後は万博会場の展示コーナーで互いの特産品を宣伝したり、Xで文化や観光、歴史について発信したりし、将来的には経済発展につなげていきたいという。同村はこれまで国内外で姉妹都市提携などを結んだことはなく、他国との協定は今回が初めて。
同国政府観光局の日本版X公式アカウントはフォロワー数が約54万9000人と多い。「ナウルくん」という国の形を模した“ゆるキャラ”を押し出すなど、ユニークな投稿が人気を呼んでいる。
調印式で泉村長は「観光いかだ下りは、最近ではインバウンドの客も増えている。ナウルのXの発信力で世界各国から大勢の客が来てくれればありがたい」といい、現在5000人のフォロワーがいるXのアカウントについては「今回の調印をきっかけに大台の1万人をクリアしたい。できるだけリアルを伝えていき、いろんなネタを仕入れて新しい情報を多くを発信していきたい」と喜んだ。
エイケンさんは「最初に文化的交流をお互いに勉強し、将来的には経済的発展につながっていけば」と期待を込め、北山村については「かんきつ類が有名だが、私たちの国もライムの生産が盛んで、親近感を覚える」と笑顔で話していた。