研究、挑戦に終わりなし 叙勲祝賀で味村さん

ことし春の叙勲で、旭日双光章を受章した和歌山県調理士会の味村正弘会長(73)を祝う会が11日、和歌山市湊通丁北のホテルアバローム紀の国で開かれた。仲間や関係者約300人が出席し喜びを分かち合った。
味村さんは日高川町出身。県調理師会の会長として、食育推進事業の一環である「キッズシェフ体験」や「わかやまジビエ出前授業」を開催。大規模災害時に温かい料理を提供できる体制を整える協定を県と結ぶなど、料理を通じた社会貢献にも尽力。
調理師としては、「日本人の味覚に合うフランス料理」を目指し、県産食材やかんきつ類、しょうゆなどのなじみのある素材を隠し味にするなど創意工夫を心掛け、その卓越した技能で評価を受け数々の賞を受賞。2021年には「卓越した技能者(現代の名工)」の厚生労働大臣表彰を受けた。オーナーシェフを務める同市片岡町のフランス料理店「JOY味村」は、多くの人に愛される名店として30年を超え親しまれている。
会は、大きな拍手に包まれながら味村さんと妻の由里さん(54)、長男の亮さん(16)が入場し華やかにスタート。
会の発起人で古くからの友人である歯科医の岩橋延直さん(91)が「味村さんはこれからの和歌山の文化を支えるには絶対に必要な人で尊敬している。今後の活躍を心から願っている」とあいさつ。
宮崎泉知事は、「これからも和歌山の食材がとてもおいしいと、他府県から来た人に知ってもらえるよう素晴らしい料理を提供してもらいたい」と祝辞。
味村さんは「皇居で天皇陛下に拝謁し温かい励ましのお言葉を賜り、感激の極みだった。これまでご支援、ご指導していただいた皆さまのおかげ」と感謝し、「学び、研究、挑戦には終わりがない。常に新しいものを追い求め、より良いものを作り続けていく」とさらなる躍進を誓った。
ステージでは、和歌山市のピアニストの宮井愛子さん、バイオリニストの西本彩友美さん、チェリストの石川博之さんによる演奏、宮本静さん、TOMPEIさん、円香さんら地元ゆかりの歌手が歌で祝福した。
妻の由里さんは「この日を迎えられたのは皆さんのおかげ。尊敬する夫をこれからも支えていきたい」、亮さんは「自分は工学の道に進みたいが、お父さんの仕事に向ける姿勢を見習いたい。お父さんはかっこいい」と笑顔だった。