持続可能、個性輝く県を 新総合計画の原案発表

宮﨑泉和歌山県知事は9月30日、県の長期構想と施策の基本的な方向を示す新たな「総合計画」の原案を発表した。2040年に実現したい将来像として「人口減少や気候変動に適応した、持続可能で心豊かな和歌山」と「個人が尊重され、あらゆる分野で個性輝く和歌山」を掲げている。10月1~30日に原案への県民の意見を募集し、修正の上、12月県議会での議決を目指す。
原案は、40年を展望した「長期構想」と26~30年度の5年間で行う施策をまとめた「実施計画(アクションプラン)」の二層構造で策定。
適応が求められる避けられない社会の潮流として、人口減少・超高齢化、地球温暖化の2点、豊かさを享受するために積極的に取り入れるべき潮流として、デジタル活用の加速化、共生社会の進展、行政間や官民の連携の3点を挙げ、これらの点への対応を計画の焦点とした。
現行の長期総合計画と異なり、策定段階から幅広い県民が関わる「県民総参加プログラム」を実施し、知事を交えた住民のワークショップや意見交換会、県内の小中学生からの作文や絵画の募集などを行い、市町村や各分野の関係団体との意見交換なども含めて1000人以上の意見やアイデアを踏まえて策定した。
目指す将来像を実現するための政策の柱として、①海外の活力を取り込む②人への投資を強化する③産業の創造力と生産性を高める④つながりを拡げて、暮らしを守る⑤誰にも居場所がある社会をつくる⑥安全な社会基盤を築き、さまざまな脅威から命を守る――の6点を設定。
グローバル人材の育成や外国人労働者の活躍推進、安心して子どもを産み育てられる環境づくり、学習者主体の教育への転換、産業の脱炭素化に向けた環境整備、収益性を高める農業生産体制の構築、広域連携による地域運営の推進、人権尊重社会の実現、災害から多くの命が救われる社会の実現など、多様な政策の方向性が示されている。
現行計画では目標数値が100以上設定されているが、激動する社会の変化に適応する観点から、新計画原案では目標数値の提示は絞り込み、取り組みの方向性を示すことを重視している。
宮﨑知事は「社会情勢の変化が激しく、先の見通しが立ちにくい困難な状況においても、県民の皆さまが将来に向かって安心して希望をもって暮らしていけるように、実施計画に基づき、地に足をつけて施策を確実に進めていく」と述べた。
原案は県ホームページや県庁情報公開コーナー、各振興局地域づくり課などで閲覧できる。意見の提出はメールや郵送で県企画課(メールe0201001@pref.wakayama.lg.jp、〒640―8585住所記載不要)まで。
問い合わせは同課(℡073・441・2337)。