航路による人流の促進

洲本港のターミナルから乗船場を望む
洲本港のターミナルから乗船場を望む

前号より、大阪府岬町と洲本市を期間限定で結ぶ旅客船「深日洲本ライナー」を取り上げている。和歌山方面から洲本へのアクセスが一段と向上し、日帰り旅行でも最大10時間程度の滞在が可能に。今週は海を通じた両地域の交流について紹介したい。

昨今、人気が高いサイクリング。和歌山県内では総距離が800㌔に及ぶサイクリングロードの整備が進み、「WAKAYAMA800」として親しまれているが、洲本市を含む淡路島では、淡路島を1周する約150㌔のコースが「アワイチ(淡路島一周サイクリングルート)」の名でサイクリストに人気。

深日洲本ライナーでは、輪行袋を使用するか自転車の前輪が外せる自転車であれば、片道300円で積載可能。深日港から紀淡海峡を渡り、洲本市内をサイクリングで巡る旅の記録が愛好家のSNSで発信されるなど、人気を博している。

深日港がある泉州地域でも「泉州サイクリング」としてルートが整備され、岬町内の道の駅をはじめ、りんくうタウンや岸和田市内を巡るモデルルートがある。

洲本港から紀淡海峡を渡り、和歌山県内を旅する企画が生まれている。深日港から貸切バスで高野山を訪れる往復の乗船券が付いた日帰り旅行のツアーが販売されている。深日港から高野山まではバスで片道1時間30分程度。洲本市から神戸・大阪を経て高野山を目指すとなると日帰り旅行には難しいものがあるが、船を利用することで実現した。

これまで、直線距離では近くても実際に訪れるとなれば長距離移動となる両地域であったが、紀淡海峡を経て結ばれる航路の存在は、地域間の交流を生み出し、地域振興につながっている。現在は期間限定の運航であるが、さらなる交流が生まれ、定期航路として定着することを期待したい。(次田尚弘/洲本市)