パチンコ店が避難場所に 県や和遊協などが訓練

南海トラフ地震などの大規模災害時に備え、和歌山県などは6日、海南市築地のパチンコLOVE海南店で物資輸送拠点開設訓練を実施。市民らも多く参加し、非常食の試食や災害用トイレの体験、施設内の設備を見学するなど備えを確認した。
災害支援の専門団体である公益社団法人シビックフォース、県遊技業協同組合(和遊協)、県、同市が連携して実施。同組合が行政と連携して店舗で訓練を実施するのは初めて。県と和遊協はことし3月、避難所外避難者への物資供給などの災害支援等の協力に関する協定を締結。これにより、LOVE海南店は、災害時支援協力店として災害時には物資提供の拠点となる。駐車場、水道、トイレなどを提供し一時的な避難ができる。
同店は主用道路沿いにあり、約5000坪の敷地に立体駐車場を含め800台の駐車スペースがある。店内は1050台のパチンコ台といすが並び、休憩スペースやトイレなどが備わっている。
太陽光発電となっているため、日中は災害時でも電気が使用できる。各パチンコ台に100㌾の電気コンセントとUSBの差込口があり、充電などで電気が確保できる。休憩室にはテレビや電子レンジ、ロッカーもある。
この日は、行政職員や関係者、市民が参加。災害用トイレに水と凝固剤を入れて固める体験や、非常食に湯を入れて食べ、避難を想定して店内を見て回った。
トイレコーナーで住民たちは、臭いは漏れないのか、自宅の便器でも使用できるのかなど熱心に確認していた。
近隣に住む70代の男性は「パチンコ店が避難場所になっていることを知らなかった。自宅から歩いてこられて駐車場も広い。いい機会になった」と話した。
和歌山市で車中泊用品の企画販売を行っているという大橋成樹さんは、「トイレなどの衛生面や避難時のストレス緩和などが大切なのだと学びになった。今後に生かしていきたい」と話した。
シビックフォースの代表理事・事務局長の根木佳織さんは「パチンコ店が災害時の拠点となっていることを皆さんに知ってもらいたい。業界の中でも訓練を広めていければ」と話した。
和遊協に加盟する災害時支援協力店は県内に42店舗ある。LOVE海南店は、津波が予想される場合には避難できない。