公益通報体制を改善へ 和歌山市が職員の自死受け

和歌山市の補助金不正を公益通報した男性職員(当時28)が後に自死したことを巡り、市は9日、外部有識者による市公正職務審査会の意見書に基づき、外部だけだった公益通報窓口を市役所内部にも設置するなど、体制の不備を改善する措置を発表した。15日から施行する。

同審査会は、市が男性に対し、公益通報者保護法が禁止する不利益な取り扱いをしたとは言えないとしながらも、不適切、不十分な対応があったと結論。公益通報窓口を市役所内部に置いていない不備や、男性へのフォローアップを行っていなかった不適切な対応の背景として、通報者保護に対する市の認識不足などを指摘していた。

改善措置では、従来は弁護士による庁外対応員のみだった公益通報窓口に、公正職務専門監が務める庁内対応員を新たに追加。通報窓口以外に通報があった場合の対応として、通報を受けた上司には通報窓口への報告を義務付ける他、庁内に公益通報に関する質問などを受け付ける相談窓口も新たに設け、公益通報に当たる違反の情報が適切に通報窓口につながるよう促す。

公益通報者へのフォローアップでは、公正職務専門監や各部局の人事担当者らで構成する公益通報者保護対策チームを新設。通報者に対する不利益な取り扱いがないか確認するなどし、認められた場合は救済や回復に当たるとしている。

また、公益通報制度や対応の仕組み、通報者保護などについて、職員への研修会を行うなど、周知徹底を図る。

男性職員の自死を巡っては、市が安全配慮義務を怠ったことが原因だとして、両親が市に計約8800万円の損害賠償を求める訴訟を起こしている。