山田監督、倍賞さんトーク TOKYOタクシー先行上映

山田洋次監督(94)の最新作映画「TOKYOタクシー」の和歌山特別先行上映会が23日、和歌山市のジストシネマ和歌山で開かれ、800人が来場。ゲストに山田監督や俳優の倍賞千恵子さん(84)らを迎えファンと交流を深めた。
映画『男はつらいよ』のような人情や活気があふれるまちづくりを目指す「わかやま寅さん会」(西本三平代表)が主催。
同会は2013年に発足。これまでに山田監督作品の上映や特別先行上映会などを開いてきた。
今回は、11月21日に公開する倍賞さん、木村拓哉さんが主演の「TOKYOタクシー」を先行上映。フランスで初登場新作1位を獲得し、日本でもヒットしたフランス映画『パリタクシー』が原作の映画。
タクシー運転手の宇佐美浩二(木村拓哉)と85歳の高野すみれ(倍賞千恵子)がタクシーで旅を共にするうち、互いの心、人生が大きく動いていくことになるという奇跡と希望の物語。
昭和から平成、令和と、日本に生きる人々を長年描き続けてきた山田監督が、刻々と変化する大都市の東京を舞台に、人生の喜びをうたいあげる感動のヒューマンドラマとなっている。
舞台には山田監督と倍賞さん、俳優の北山雅康さん、和歌山市出身で照明技師の土山正人さんが登壇。倍賞さんは「一生懸命つくったTOKYOタクシーです。ゆっくりご覧になってください」とあいさつし、山田監督は「映画を見て、あー良かったなという気持ちで家路に就いてもらいたい」とメッセージを伝えた。
対談で木村拓哉さんに関して、山田監督は「ほんとに真面目。最初は分かりにくい人だったけれど、彼の生き方として迫力がある」と話し、倍賞さんは「撮影をやっていくうちにどんどんお互いの心が出てきて通じていくなという感じがあった。そして、空中で心がぶつかるようになった。そういうのを感じられたのは初めての映画だった」と振り返った。
映画を撮るときに意識していることは何かというファンからの質問に、山田監督は「良い映画をつくりたいな。どういうことを意識すれば良い映画が撮れるかなと何十年も苦しみながらやってきた。それが一番難しい」と話した。
倍賞さんは「(山田監督の作品には)普通の人間がたくさん出てくる。スポットライトが当たっている人の、後ろにいる人を山田さんは引っ張り出してきてクローズアップし、どんどん人間を深めている。人間学校みたい」といい、山田監督は「10人いれば全員違う。違いをどうやって見つけていくのか、個性をどう浮かび上がらせていくのかが演技指導のポイトです」と答えた。
他にも、倍賞さんが劇中にも登場する歌をアカペラで歌唱する場面もあり、ファンは味わい深い時間を共にした。岬町から来た70代の女性は「山田監督と倍賞さんの顔を見られただけで幸せ。映画も主演2人の雰囲気が合っていてとても良かった」と笑顔だった。


