緩衝地帯で管理捕獲 県がツキノワグマ管理計画

ツキノワグマ管理計画について話す宮﨑知事
ツキノワグマ管理計画について話す宮﨑知事

紀伊半島におけるツキノワグマの生息数が増加していることを受け、和歌山県は「県第二種特定鳥獣(ツキノワグマ)管理計画」を策定した。問題行動があった個体に対する有害捕獲だけでなく、人の生活圏への出没防止を目的とする管理捕獲を実施し、従来の保護政策から個体数の管理へと転換する。計画期間は10月30日から2027年3月31日まで。

紀伊半島のツキノワグマの生息数は、自然環境研究センターによる1998年度調査報告書では180頭。環境省のガイドラインでは400頭以下は保護すべき地域個体群としており、県は保護政策を実施してきたが、2024年度に同省と紀伊半島3県(和歌山、三重、奈良)が行った調査で推定生息数が467頭となっている。

24年度のクマの目撃情報は180件で、22年度の57件、23年度の48件から急増。近年は人間の生活圏への出没が顕著となり、地域住民への精神的被害にとどまらず、人的被害発生の恐れも高まっており、管理計画を策定した。

計画では、人とクマのすみ分けを図るため、コア生息地(奥山など)、緩衝地帯(里山)、防除地域(農業などが盛んな地域)、排除地域(市街地や住居集合地域)の4種類のゾーンを設定。人的被害を起こした個体や人の生活圏に出没した個体の有害捕獲に加え、人の生活圏への出没防止のため、緩衝地帯で管理捕獲を新たに行い、個体数の減少を図る。

クマの生息地の保護や整備、3県の広域連携による保護管理などの方針も示されている。

宮﨑泉知事は5日の記者会見で、県内は秋田などのようにクマがまちなかに出てくるような状況にはないとしながらも、「県として被害を食い止めるためにも、生息地に立ち入らないように、もし立ち入る場合は複数人で行き、鈴やラジオを鳴らしながら歩くなど、クマに出合わないようにすることが大事」と注意を呼びかけ、管理計画の広報も行っていく考えを示した。