2代目ニタマ駅長が永眠 貴志川線振興に貢献

「和歌山県勲功爵」を授与されたニタマ(2021年8月21日)
「和歌山県勲功爵」を授与されたニタマ(2021年8月21日)

和歌山電鐵㈱は21日、貴志川線で愛された猫駅長のニタマが20日に永眠したと発表した。雌、15歳。同社は12月13日午後0時半から、貴志駅で社葬を行う。

ニタマは、初代たま駅長に続く2番目の猫駅長として2012年1月に伊太祈曽駅長に就任し、たま駅長亡き後、15年8月に「たまⅡ世駅長」を襲名。白く長い毛並み、愛らしい姿で同線を県内外にPRし、インバウンドからも高い人気を集めた。全14駅の総駅長であるウルトラ駅長、社長代理、貴志駅たま神社宮司などを務めた。

21年8月には、同線の振興や和歌山を全国に発信した功績により、たま駅長に続き、県から「和歌山県勲功爵(わかやまでナイト)」の称号を贈られた。

10年3月3日(推定)、岡山市生まれ。生後2カ月ごろ、車にひかれそうになったところを同市内の主婦に助けられ、同社の親会社、岡山電気軌道㈱が引き取ったことが、和歌山に来る縁となった。

ことし10月下旬から食欲が落ち、最後の2日ほどは昏睡状態で、「ニャー」とひと声鳴き、息を引き取ったという。折しも、同線存続に向け、同社と県、和歌山市、紀の川市の4者が「完全上下分離方式」での運行を目指す合意書の締結(24日)を公表する直前だった。

小嶋光信社長は「日々の働きぶりは本当に健気で、私たちに喜びと誇りを与えてくれた。和歌山電鐵の大きな転換点をしっかりと見届け、静かに旅立っていった。社葬をもって功績をたたえたい」としている。

宮﨑泉知事は「県の観光のけん引者として観光振興に大いに貢献されてきた。これまでの活躍に大変感謝している」、尾花正啓和歌山市長は「子どもから大人まで、多くの方々の心を和ませ、貴志川線に活気と笑顔をもたらしてくれた」とそれぞれ追悼のコメントを出した。