地域で育ったブドウハゼ りら高生が初めて収穫

和歌山県紀美野町真国宮の、りら創造芸術高校の課外活動「りらファクトリー」の生徒たちは、町内で初めてブドウハゼを収穫した。ブドウハゼの産業復活を目指し、同町の有志グループ志賀野さみどり会が行う「ブドウハゼによる地域再生」事業の一環で収穫を手伝ったもの。
ブドウハゼは通常のハゼと比べて大きく、ハゼの果実から採れる木蝋(もくろう)は、和ろうそくや鬢付け油の原料となる。昭和初期ごろ、同町では30万本以上のブドウハゼの木が栽培されていたが、数年前の栽培者は1人となり、200本ほどになった。
りらファクトリーは、地域の新たな特産品になるものを開発し、地域活性化に取り組んでおり、ブドウハゼを使ったオーガニック化粧品「キノミノリ」を開発。2017年には、同校生徒が、枯死したとされていたブドウハゼの原木を発見し、20年に県天然記念物に再指定された。
りらファクトリーの活動をきっかけに、同会の西森三洋さん(56)が栽培活動を本格化させ、22年に接ぎ木で栽培を行い、今回実った14本から収穫することになった。
生徒たちは、立派に育ったブドウハゼと実生ハゼの実を一房ずつ丁寧に採り、かごに入れ、計22・5㌔を収穫した。3年の塚田心華さん(18)は「想像以上にたくさん育っている。私たちの活動がきっかけで栽培活動が始まったことがうれしい」と話した。
収穫したハゼでの製蝋は、全国で唯一、伝統の玉締め式圧搾法を用いて蝋を作る海南市の「吉田製蝋所」に依頼する。
西森さんは「収穫したブドウハゼは接ぎ木で初めて成功した木。これから大きくなるので来年の収穫が楽しみ。将来的には製蝋所をつくりたい」と話している。


