「焼肉家㐂ねん」が日本一 居酒屋甲子園

優勝した●ねんの皆さん
優勝した㐂ねんの皆さん

やってきたことが間違いではなかった――。全国の飲食店約1200店舗が出場した、神奈川県で開かれた第18回居酒屋甲子園で、和歌山市太田の「焼肉家㐂ねん(きねん)」が頂点に輝いた。11月11日、最終審査5店舗だけが出場できる全国大会で、同店の田村辰彦店長(42)や従業員らは、3000人を前に熱い思いを伝え日本一をつかみ取った。田村店長は「当たり前に毎日続けてきたことが評価された思いでうれしい」と仲間と喜び合った。

居酒屋甲子園は、飲食業に従事する人が誇りと夢を持ち、業界の価値を高め、居酒屋から日本、世界を元気にしようと、2006年に始まったNPO法人居酒屋甲子園主催の大会。全国の居酒屋が参加する業界最大級のイベントで、取り組みや思いをステージで発表する。覆面調査や書類審査の予選を通過すると地区大会へ進むことができ、地区大会でプレゼンテーションを行い、勝ち抜くと全国大会へ。最終勝ち残った5店舗が発表し、日本一を目指す。

同店は、和歌山市内に飲食店3店舗を展開する㈱中心屋(斎藤忠孝社長)グループの一つ。「心を満たす店づくり人づくり」を理念に掲げ、来店客をもてなしている。

田村店長は、07年の第2回大会を会場で観覧。ステージを見て「夢と希望に満ち溢れ、飲食の未来には可能性しかない。あそこに立てるような店舗をつくりたい」と目標を持ったという。

企業理念と、飲食店経営のQSC(品質・サービス・清潔さ)を指針に掲げ、「当たり前を当たり前以上にやり続ける」の思いを従業員と共有し、一丸となり取り組んできた。

特に、清掃には時間をかけ、掃除することで「気付き」の力がつくと、従業員に掃除の大切さを伝えている。

昨年からは、自社農園を始めた。料理に使う野菜を育てることで従業員の意識にも変化があり、愛情が生まれロス削減に工夫をしようと、食材への感謝が増したという。迷ったときは「心を満たしているか」と原点に立ち返る。

同大会では背伸びせずありのままを見てもらうことを心がけ、笑顔での接客や清潔な店内など積み重ねてきた「当たり前」を伝えることに注力。ステージでのプレゼンテーションで田村店長は、18年分の思いを込めた。

優勝が決まった瞬間、田村店長は「実感がなく一瞬、間があったが、18年前、私をここに連れて来てくれた社長を日本一にできた」と涙を流したという。「地元の人に優勝を知ってもらいたい。気持ちを切り替え、きょうからまた、お客さまや従業員の心満たしていきます。心満たすおもてなしを体験しに来てください」と話している。