家具職人の山原さん金メダル アビリンピック

金メダルをかけた山原さん(前列右)と宮﨑知事(同左)、和中代表取締役(後列中央)ら
アビリンピックで花台を製作する山原さん(県提供)
金メダルをかけた山原さん(前列右)と宮﨑知事(同左)、和中代表取締役(後列中央)ら

障害のある人たちが日頃培った職業技能を競い合う「第45回全国障害者技能競技大会」(アビリンピック)で、家具部門の山原耕一さん(53)=㈱山ノ木、和歌山市=が最高賞の金賞に輝いた。県代表選手の金賞受賞は3年ぶりで、9日には快挙の報告に県庁を訪れ、宮﨑泉知事から祝福を受けた。

アビリンピックで花台を製作する山原さん(県提供)
アビリンピックで花台を製作する山原さん(県提供)

今回のアビリンピックは10月17~19日、愛知県国際展示場で開催。全25種目に全国から401人が集い、和歌山県勢は山原さんら8人が8種目に出場した。

家具部門は、木製の「花台」を5時間半以内に製作する競技で、部材の正確な加工や接合、仕上げのかんな削りの手触りの良さなどが評価の対象となり、高い技術と同時にスピードも要求される。

山原さんは聴覚に障害があり、20歳で山ノ木に入社し、家具職人として33年間働いてきたベテラン。1級家具製作技能士の資格を持つ。

アビリンピック家具部門には昨年も県代表として出場したが、会場の機械工具の操作法が普段使っているものと異なり、混乱して作業の手が止まり、体調を崩してしまうという苦い経験をした。

今回は、思い描く通りの作品にできるよう、5回ほど練習で花台を製作するなど入念に準備。大会の結果は「今まで練習してきた技術を発揮し、練習よりも本番の方がうまくできた。うれしかった」と笑顔で振り返る出来栄えとなった。

山原さんは金メダルを首にかけ、山ノ木の和中輝雄代表取締役らと共に県庁知事室を訪問。宮﨑知事は「腕を磨き、素晴らしい成績を残され、おめでとうございます」とたたえ、和中代表取締役は「厳しく指導してきたので、苦しかったと思う。本当によくやってくれた」と、身近で成長を見つめてきた山原さんの金賞を喜んだ。

2027年にはフィンランドで国際アビリンピックの開催が予定され、派遣選手は金賞受賞者などから選考される。

山原さんは「(国際アビリンピックに出場できたら)世界一になることが目標。さらに技術を向上させて、より難しいことをしたい」と話している。

今回のアビリンピック県代表では山原さんの他、喫茶サービス部門で木下裕登さん(ホテルアバローム紀の国)が銅賞を獲得した。