ニタマ「名誉特別駅長」に 社葬で500人が別れ

ニタマの遺影が飾られた祭壇に玉串をささげる小嶋社長とよんたま
ニタマの遺影が飾られた祭壇に玉串をささげる小嶋社長とよんたま

和歌山電鐵㈱は13日、貴志川線の2代目猫駅長ニタマの社葬を貴志駅(紀の川市貴志川町)で行い、同線の活性化や地域振興への活躍をたたえ、「名誉特別駅長」の辞令を交付した。県内外から約500人が参列し、愛らしい姿をしのび、別れを惜しんだ。

記帳所に列を作る参列者
記帳所に列を作る参列者

ニタマは、2012年1月に伊太祈曽駅長に就任し、初代たま駅長亡き後、15年8月に「たまⅡ世駅長」を襲名。全14駅の総駅長であるウルトラ駅長、社長代理、貴志駅たま神社宮司などを務めた。同線の振興や和歌山の全国への発信に大きく貢献し、和歌山市から「観光特別大使アゼリニャ」、県から「県勲功爵」を贈られるなど長く愛されてきたが、ことし11月20日、15歳8カ月で永眠した。

社葬は同社の小嶋光信社長が葬儀委員長となり、岸本健紀の川市長、犬塚康司和歌山市副市長、赤坂武彦県地域振興部長、貴志川線の未来を〝つくる〟会の木村幹生代表らが参列。氏神である大国主神社の山本幸泰宮司が斎主を務め、神式で行った。

小嶋社長は弔辞で「日々のお勤めは本当にけなげで、駅を訪れるお客さまの心を癒やし、スタッフにも喜びと誇りを与えてくれた。深い感謝をささげる」と述べ、ニタマの後輩駅長「よんたま」を抱いて玉串をささげた。よんたまは、ニタマに別れを告げるように何度も「ニャー」と鳴いた。

ニタマや貴志川線の多くのファンらが祭壇の遺影に手を合わせ、献花台や記帳所には花や感謝のメッセージが寄せられていた。

社葬後、小嶋社長は「きっと天国でたま駅長から『よくやったニャー』と褒めてもらい、ニタマは喜んでいると思う。これからの和歌山電鐵を見守ってほしい」と語った。

ニタマに会うために何度も貴志川線を利用してきたという大阪市の岡田知己さんは「大好きで、どうしてもお見送りをしたかった。イベントなどで何度も写真も撮らせてもらった。これからも貴志川線を応援していきたい」と話していた。

ニタマへの花やメッセージが寄せられた献花台
ニタマへの花やメッセージが寄せられた献花台