消火、浄水など実践的に 松江地区防災訓練に400人

和歌山市の松江地区防災会(井本正幸会長)は13日、大規模災害に備え、地域の防災力向上を目指した訓練を同市松江北の河西中学校で行い、地域住民約400人が参加。災害時の対応方法を確認した。
同会は2000年に発足。年に1度、連合自治会と共に防災訓練を行い、問題点や課題を抽出。訓練の内容を毎年更新し、災害発生時に被害を抑えるためのマニュアルを作成するなど、地域の特性に即した実践的な取り組みをしている。2022年には防災功労者内閣総理大臣表彰を受けている。
午前9時、住民は緊急無線放送を聞き、各自で安全行動を確認。安否確認訓練として、家族の無事を知らせる黄色い布を家の前に掲げ、河西中学校に避難。体育館では避難者の受け入れ、振り分け、情報収集、伝達などの図上と実働訓練を合わせて行った。
校庭には約10の体験型のブースを設置。参加者は心肺蘇生の流れと自動体外式除細動器(AED)の使い方を学ぶ救急訓練、災害伝言ダイヤルや公衆電話の使い方、水消火器による消火訓練、天ぷら油の燃焼実験と消火器での鎮火などを体験した。
河西中学校の生徒たちは、消防車から放水する訓練に参加。水圧の強さに驚きの声を上げていた。小村心春さん(12)は「ホースがとても重く、1人ではできないと思った。消防隊に感謝し、自分たちにできることを探したい」と話した。
今回は、市が昨年度に導入した学校のプールなどの水をろ過し、被災者に生活用水を供給する緊急時ろ過装置車が初登場。軽ワンボックス車に最新の深紫外線装置が搭載されており、くみ上げた水はろ過フィルター・活性炭フィルターを経て深紫外線装置で殺菌し、車両後部の蛇口から生活用水として供給する。
その水に触れた参加者は「災害時に水がないのは大きな問題。この小さな車でろ過できてきれいな水が使えるのはとても助かる」と安堵(あんど)の表情。
井本会長(75)は「訓練を通し、地域が一丸となり防災意識を高めるため、毎年同じ訓練ではなく新しいことにトライしていきたい」と気を引き締めていた。


