地域の財産「わかやま布引だいこん」

和歌山市の野菜をふんだんに使ったみそ汁
和歌山市の野菜をふんだんに使ったみそ汁

前号では、部位によって異なる味わいが楽しめる「大根」の魅力を取り上げた。今週は、最盛期を迎えた「わかやま布引だいこん」の特徴を紹介したい。

わかやま布引だいこんは、和歌山市の布引・内原・紀三井寺・毛見の4地区で生産される青首大根。2021年、農水省の「地理的表示(GI)保護制度」に登録された。この制度は、その地域ならではの自然的、文化的、社会的な要因の中で育まれてきた、品質や社会的評価等の特性を持つ地場産品の名称を、地域の知的財産として保護する制度。

種をまいた日から育成日数を徹底管理し適期に収穫することで品質が一定。根部が真っすぐに長く太さが均一で、ひげ根が少なく毛穴が浅いことから、上部の青と下部にかけての白のコントラストが美しく、肌の張りとツヤ、鮮度感が高くなる。

出荷規格を設け、中心階級とされる2Lサイズを目安に、前年に出荷された大根の階級と気象予報を参考に収穫期間を設定するなど、過去のデータに基づいた栽培を行っていることも工夫の一つ。

歴史をたどると、江戸時代の前期には地域の特産品として大根が栽培されていたという。1967年に農水省から秋冬大根の産地に指定。主な栽培地域は布引地区であったが、隣接する地区へ地域が広がったことから、84年に現在の生産方式の原型が作られた。

大根の栽培には豊富な酸素が必要で、根部の呼吸作用が阻害されると品質低下につながる。この地域は地下水が豊富で、特有の砂質の土壌が通気性や排水性に優れていることから、酸素の吸収が良く、土壌の柔らかさから大根の中身も表皮も柔らかく育つ。

これは大根に限らず、人参などの栽培にも同じ効果をもたらす。寒い季節、和歌山市で作られた特徴ある野菜で温まってみては。(次田尚弘/和歌山市)