政界の勢力図どうなる 県内小選挙区に9人出馬

第51回衆院選が27日、公示され、和歌山県内2小選挙区には合わせて9人が立候補を届け出た。高市早苗首相の高い支持率を背景に、自民党と日本維新の会の与党は過半数(233議席)の維持を勝敗ラインとし、自民との連立を解消した公明党が立憲民主党と結党した「中道改革連合」は比較第1党を目指している。12日間の舌戦の後、政界の勢力図はどうなるのか、注目される。

県内の小選挙区は前回(2024年10月)から区割り変更で3から2に減り、1区は和歌山、紀の川、岩出の3市、2区は3市を除く27市町村となった。

受付開始時刻に立候補を届け出たのは順に、1区が自民党前職の山本大地氏(34)、参政党新人の林元政子氏(51)、共産党新人の前久氏(69)、中道改革連合新人の要友紀子氏(49)、国民民主党前職の林佑美氏(44)、日本維新の会新人の浦平美博氏(54)の6人、2区が無所属前職の世耕弘成氏(63)、共産新人の畑野良弘氏(65)の2人。比例近畿ブロックには、県に地盤を持つ自民前職の石田真敏氏(73)が立候補した。

27日、1区に新たに政治団体「心(しん)の党」代表の正司武氏(75)が立候補を届け出た。前回の1区に続き、2度目の挑戦となる。

県内小選挙区の立候補の受け付けは県庁北別館2階で午前8時半から午後5時まで行われた。

各陣営は代理人らが届け出を済ませ、駅前など、人通りの多い場所で有権者への第一声を上げると、選挙カーに乗り込むなどし、各地へ街宣に走った。

26日現在の県内の選挙人名簿登録者数は76万3838人(男35万7781人、女40万6057人)で、前回衆院選時(24年10月14日)より1万2209人(1・57%)減。



上から下に届出順 【名鑑の見方】名前(敬称略)投票日現在の年齢、党派と前職・新人の別(自は自由民主党、中は中道改革連合、維は日本維新の会、国は国民民主党、共は日本共産党、参は参政党、心は心の党、無は無所属、丸数字は当選回数)。①主な経歴②最終学歴③住所


1区(定1―候7)

山本 大地(やまもと だいち)候補(34)
自前①

①元和歌山市議、元国会議員秘書②関西大法卒③和歌山市

誰よりも和歌山を思う

山本陣営は午前8時半から、JR和歌山駅前で出陣式。約400人(陣営発表)の聴衆を前に山本候補は「この国を引っ張っていくのは自民党しかない、リーダーは高市早苗総理しかないと訴える選挙だ」と述べ、高市政権が掲げる「責任ある積極財政」の推進を訴えた。

さらに「和歌山の皆さんを何としても笑顔にし、未来ある子どもたちが生まれて良かったと思える国をつくっていきたい」と郷土への思いを語り、初当選の1年3カ月前とは連立政権の枠組みなど大きな変化があったことにふれ、「厳しい選挙戦だが、私は候補の中で誰よりも和歌山のことを思い、和歌山を前へと進めていく」と述べた。

選対本部長の山下直也県議、鶴保庸介参院議員ら党所属議員が応援のマイクを握り、宮﨑泉知事らが祝電を寄せた。公明党との連立時代はよく聞かれた「比例は公明」ではなく、「比例は自民党」の訴えもあった。

山本候補は、支援者らと握手し、1歳のまな娘を優しく抱きしめると、選挙カーで出発した。


林元 政子(はやしもと まさこ)候補(51)
参新

①訪問看護会社役員②和歌山看護専門学校卒③和歌山市

日本を守り抜く政治へ

林元候補は和歌山市役所前で出陣式を行い、支援者が参集した。夫の林元光広市議は、党支部の結党時からの歩みにふれ「今回は勝ちにいく選挙だ」と強調した。岡本喜好橋本市議、上田礼子紀の川市議も地道な活動の成果と当事者意識の重要性を訴えた。

林元候補は看護専門学校を卒業。2児を育て、21年間の会社経営で病気予防を発信した経験を語り「今の政治は諸外国に良い顔をし長いものに巻かれている。その結果日本人の給料が上がらない30年が続いた」と批判。積極財政への転換と、日本人の誇りを取り戻す一貫した姿勢を強調した。重点政策には「日本人ファースト」を掲げ、外国資本による土地買収や、主権の侵害に歯止めをかけると主張。「一人一人が日本」という言葉を胸に「先人が守りつないだこの国と子どもたちの未来を絶対に守り抜く」と決意を語った。

12日間の選挙戦に向け、和歌山の未来を考えようと、支援を呼びかけ、全力で戦い抜く覚悟を示した。


前  久(まえ ひさし)候補(69)
共新

①党県副委員長②南九州大園芸卒③和歌山市

暮らし、平和、人権を守る

前候補は和歌山城の一の橋前で第一声。「高市自民党・維新政権と真正面から対決し、暮らし、平和、人権など、国民の皆さんのため、ぶれずに働く」と決意した。高市氏自身に新たな「政治とカネ」の問題が浮上したこと、旧統一教会の内部文書に高市氏の名前が32回記載されるなど癒着が指摘されていることを挙げ「連立を組む維新にも国保逃れが発覚し、『追及されたら政権がもたない』と解散に打って出たのが真相。高市政権に厳しい審判を下そうではありませんか」と力説。国民が安心と希望を持てるような政治への転換を図るとした。

「三つの緊急の提案」として、①消費税5%への引き下げを直ちに実施し将来は廃止を目指すこと②中小企業で働く人たちの賃金の大幅な引き上げ③医療と介護を立て直し、命を守ること――を挙げた。米国による日本への軍拡要求にも危機感を示し「これでは暮らしも平和も壊される。日本共産党は口先だけの政党ではなく、日本の政治を動かす力を持っている」と支援を呼びかけた。


要 友紀子(かなめ ゆきこ)候補(49)
中新

①元人権団体代表②専修大経営中退③大阪市

生活者に寄り添う政策を

要陣営は午前11時からJR和歌山駅前で出陣式を行った。立憲民主党県連の山路恭世代表が「皆さん一人ひとりが抱える生活への思いや違和感を置き去りにしない政治をつくりたい」、公明党県本部の岩井弘次代表は「要候補は弱い側に寄り添う思いが全身にみなぎっている」とあいさつした。NTT労組退職者の会県支部協議会の藤田利章会長も激励の言葉を贈った。

要候補は「国民が喜ぶばらまきも国際社会から見れば財源無き積極財政で、いかがなものか」と懸念を示し、「責任ある日本経済への信頼を確保した経済政策なのか、しっかりとした見極めを」と訴えた。「困っている生活者に関わる政策を前に進めていくためには、中道が役割を担わなければ」と呼びかけ、「私は生活者を守るために国民の声を聞くことを長年やってきました。足を使って声を聞きに行くことには自信と実績があります。皆さまの声を聞きに行き、和歌山に貢献していけるような議員を目指して頑張ります」と誓った。


林  佑美(はやし ゆみ)候補(44)
国前②

①元和歌山市議②立命館大院修了③和歌山市

働く人たちの生活重視

林陣営は午前9時半から和歌山市民体育館前で出陣式を行った。国民民主党県連代表の浦口高典県議が「国民民主党は政策実現野党として、岸本周平さんが言っていた『普通の人から豊かになろう』の政治を目指す。公認候補として林候補を一生懸命応援する」とあいさつ。

林候補は「今、必要なのは政権与党の安定ではなく普通の人、働いている人の生活の安定。古い政治、古い体質、増税ばかりを繰り返す政治をぶち壊すには私だけではなく皆さまの一票一票が必要です。私に力をお貸しください」と訴えた。手取りを増やすことを掲げ、安定した生活社会の実現を軸に選挙に臨むことを誓った。

「国民民主党は、皆さまからの大きな力のおかげでホップステップ続けてまいりました。今回の衆議院選挙でジャンプをしなければ、皆さまの生活に寄り添った生活重視の政策が実現できなくなります。午年の選挙です、最後まで駆け抜けます」と決意し、支援者らと「頑張ろう」コールで拳を突き上げ士気を高めた。


浦平 美博(うらひら よしひろ)候補(54)
維新

①元県議、元高校教員②国士舘大体育卒③和歌山市

政治は国民のためのもの

浦平候補は御膳松の交差点で第一声。県総支部総務会長の中庄谷孝次郎和歌山市議は「市議、県議の経験を持ち、突破力がある。和歌山1区から国政へ、真面目でまっすぐな政治で必ず結果を出す」、有田支部の武田豊治有田市議は「県議を手放し、より厳しい国会へ熱意を持って挑戦する。今の政治に必要なのは、彼のようにここでは無理だと気付いたとき、次の一手を打てる政治家」と紹介した。

浦平候補は今回の選挙について「自民党と連立を組むにあたって合意文書の中身を議論し、この連立でいいのか国民に問うのが争点」とした上で、自身の思いを「市議、県議と活動を続けてきたが、足りない。和歌山を本気で変えるためには、より発言力のある所に立つ必要がある」と力説。「私は言ったことを必ず守る。政治は国民のためのもので、その上にあぐらをかいてはいけない。この12日間、有権者の皆さまに政策を一つひとつ丁寧に伝えてまいります」と決意を述べた。


正司 武(しょうじ たけし)候補(75)
心新

①党代表、歯科医師②大阪大歯卒③紀の川市


2区(定1―候2)

世耕 弘成(せこう ひろしげ)候補(63)
無前①

①元自民参院幹事長、元経産相②早稲田大政経卒③新宮市

高市総理支持の一票を

世耕候補は海南市の複合施設前をトップに出陣式を行い、神出政巳市長や望月良男参議院議員らが支援を呼びかけた後、第一声。前回同様、故安倍晋三元総理の形見の靴をはいての選挙戦で「安倍さんの思いを継ぎ、保守政治を日本に取り戻す」としたうえで、政策として次世代型産業の誘致、観光産業の高付加価値化、稼げる農林水産業による「質の高い雇用を創出」を挙げ、「若い人がふるさとに帰って仕事をし、活力があふれ、高齢者を支える和歌山にしていく」と力を込めた。

今回の解散・総選挙について「大義はないという批判は当たらない。物価高や経済対策をやったうえで、大胆な政策と力強い外交のため、政権基盤を強化するための覚悟の決断」とし、「和歌山2区に自民党公認候補はいないが、高市総裁誕生に貢献し、昔から親交のある私が立候補している。高市支持の一票を」とアピール。「前回は逆境の中で、今回は圧倒的な得票率で勝利した男を無所属にしておくのはもったいないという空気を、永田町につくっていきたい」と支持を訴えた。


畑野 良弘(はたの よしひろ)候補(65)
共新

①党県委員②横浜放送映画専門学院卒③串本町

消費税5%に引き下げ

畑野候補は海南市重根の産直市場前で第一声を放ち、「高市首相は経済優先と言いながら総選挙に打って出て物価高の対策はしないし、台湾有事発言で日中関係も悪化。その上、政治とカネ、統一教会との癒着など首相自身に関わる重大疑惑が次々と出ている」と批判を展開。自民党の政治が大株主と大企業への富の一極集中となっていることや、アベノミクスの金融緩和策が物価高につながっているなどと指摘した。

共産党としては最低賃金をすぐにでも1500円、1700円に引き上げるとともに、労働時間を週35時間に短縮し、消費税は5%に引き下げ、将来的に廃止を目指すとアピール。対話による平和外交や選択的夫婦別姓の実現にも意欲をみせ、「共産党には政治を変える力がある。自民党の裏金問題を暴露したのは共産党としんぶん赤旗。企業団体献金も政党助成金も受け取っていない共産党だからこそ、誰に遠慮することなく不正の追及ができる。相手候補(2区)は裏金で自民党を追い出された。もう金まみれの選挙はやめさせよう」と訴えた。