万博のレガシー問う 近代美術館で企画展

万博の歴史や変遷をたどる企画展「万博のレガシー 解体と再生、未完の営為を考える」が14日、和歌山市吹上の県立近代美術館で始まった。5月6日まで。時代とともに変化する万博の意味を探ると同時に、同館の設計者でもあり、1970年の大阪万博で三つのパビリオンを手がけた黒川紀章の理念や仕事に焦点を当て、建築の視点からも万博を読み解く。昨年の大阪・関西万博和歌山ゾーンのシンボルにもなった「トーテム」も特別展示している。

展示は2部構成で、黒川自筆の図面やスケッチなど多数の初公開資料を含め、ポスターや模型、建築写真など貴重な約300点を紹介。
1部は、19世紀の初期万博から1970年大阪万博までを、日本との関わりに重点を置いてたどる。日本での博覧会の始まりにも位置付けられる1872年(明治5)の文部省博覧会を伝える木版の他、日中戦争の長期化などで中止され、幻の万博となった「紀元二千六百年記念日本万国博覧会」のポスターなどが並ぶ。1970年の万博当時の映像も併せて紹介している。
2部では、黒川が手がけたパビリオンを通して、黒川が提唱した建築理念「メタボリズム(新陳代謝)」の思想や世界観に迫っている。
黒川が、未来都市の展示について海外の建築家に直接交渉し、手紙のやりとりを重ねながら、予算の関係で難航する中でも提案を形にしていった過程などが資料から読みとれる。
理美容・医療の機器メーカー・タカラベルモント(大阪市)が70年万博で出展し、カプセルを組み合わせて黒川がデザインした「タカラ・ビューティリオン」の模型、建築写真なども並ぶ。
同館の芦髙郁子学芸員は「黒川さんは先見的な考えを持ち、一貫してその建築概念を直接的に表現された方。初期の建築の実例など、出発点が見てとれる展示になっている。あらためて、万博というものがどういうイベントだったのかを皆さんに考えてもらう機会になれば」と話している。
月曜休館(祝日開館)。2月24日、4月1~5日は空調改修工事のため休館予定。一般600円、大学生330円。高校生以下、65歳以上、障害者手帳を持つ人は無料。
前日の13日には開会式があり、関係者がテープカットして開会を祝った。今西宏行県教育長は「大阪・関西万博に行けなかった方も、和歌山ゾーンを体験していただけるかと思います。たくさんの方に足を運んでいただければ」とあいさつ。和歌山ゾーンの総合ディレクターを務めた吉本英樹さんは「トーテムは万博会場とは違ったしつらえだが、この美術館という空間で、思い描いていたコンセプトがついに実現したという感じがしている」と期待を寄せた。
同館エントランスフロアでは、和歌山ゾーンで展示された紀州材のカウンターテーブルとチェア、押し花アートも紹介している。


